Google Researchには、チョウ氏のほかにもさまざまな学問の分野において博士号を取得したり、それぞれの道で栄誉ある賞を受けた専門家たちが大勢在籍している。Google Researchによる近年の発表の中に、量子コンピュータ向けのチップセット「Willow(ウィロー)」や、少ない計算量で高精度な気象予測をはじき出す「Neural GCM(General Circulation Model)」があることもその証左だ。これらに代表される、即時的な実用を目指すのではなく、未来を切り拓く長期的なビジョンに基づくGoogle Researchの研究成果も数多く存在する。
科学が到達できなかった領域にAIの力を借りて踏み込んでいく
昨今はAIに基づく先進技術とこれらがもたらすツールにより、科学技術者たちが驚くほどのスピードで、目を見張るような成果を挙げているという。チョウ氏は「これまでに科学が到達できなかった領域にも、AIの力を借りて踏み込むことができるはず」と期待を寄せる。
例えば医療分野では診断精度がさらに高まり、がんの早期発見や創薬における知見が、AIの力を借りて大きく進展しているという。あるいは個人により最適化された医療・介護を実現したり、本来は正常である状態を異常と判定してしまうフォールスポジティブ(誤診)を減らすことにも、AI関連のテクノロジーが貢献しつつあるとチョウ氏は述べている。
「例えば、従来は治療方法が確立されていなかった病気に対処するための突破口、あるいは具体的な治療方法が、私たちが期待していた時期よりも早く見つけられるかもしれません。いずれさまざまな成果が発表されると思います」
Google Researchは世界のさまざまな学術研究機関とのパートナーシップを大切に育んできた。日本では東京大学との産学共同研究により、アクティビティトラッカーのFitbitが集めた高齢者の運動機能に関するデータを解析し、転倒予測や歩行分析の機械学習アルゴリズムを確立した。その成果は今後、世界中の高齢者とその家族の生活を支えるサービスやプロダクトとして形になるだろう。
テクノロジーがもたらす影響を、ポジティブな方向に向ける
今はパソコンやスマートフォンが、AIテクノロジーと人間をつなぐデバイスとして広く普及している。今後、AIデバイスはどのような方向に発展する可能性があるのだろうか。チョウ氏に聞いた。


