エンゲージメント活動の具体例
藤吉:最後に御社の企業に対するエンゲージメント活動の具体的な事例を教えていただけますでしょうか。
平野:例えば、ヘルメットの「SHOEI」という会社がありまして……。
藤吉:いい会社ですよね。
阿部:ものすごくいい会社なんですよね。
平野:今、ウチはSHOEIの株主として、もっとこの会社の価値が市場で評価されるべきじゃないかということで、経営陣と話をしてます。
プレミアムヘルメットの市場って、世界でSHOEIとアライという2社しかなくて、SHOEIが6割から7割のシェアを持っているんですね。ですから利益率が非常に高くて、ROEも高い。
実際、経営陣も最初は「利益も出てるし、ROEも平均より高い。何か問題ありますか?」という感じだったんですけど、「もっと高くできるでしょう」というのが私たちの考えですね。本当は100mを10秒で走れるのに、「12秒で走ってるから速いでしょう?」というのは違う、と。
藤吉:そういうエンゲージメントで経営陣の意識も変わってくるんですか?
阿部:変わってきましたね。100mを10秒で走れるのに12秒で走っているとしたら、手を抜いているということじゃないですか。先ほども言った通り、上場している以上、その2秒差というのは社会のコストになる。
もうひとつ例を上げると例えば京成電鉄。あそこは時価総額が約7000億円なんですが、1兆円以上のオリエンタルランドの株を持っているんです。
平野:約1.1兆円くらいですね。オリエンタルランドの筆頭株主なんです。
阿部:オリエンタルランド創業時から関わっていたんだね。で、海外の投資家から、その約1兆円分の株を売却して投資するか、投資しないんだったら配当として払い出すようにという要求を受けているんです。
僕らも株主なんで、このことで相談を受けているんですけど、これってなかなか難しくて。
株主としてはこれを売って、そのお金で何か鉄道事業に関係ある事業に投資したほうがいいという考え方もあるわけですが、経営者側に立てばこのオリエンタルランドの株というのは〝お宝〟として手放したくはない。かといって、上場している以上、このまま何もせずに持っているだけというわけにもいかない。
日本にはこういう会社がいっぱいあるんです。で、もし欧米の投資家がそういう会社を見つけたら、会社ごと買収して〝お宝〟株は買収した瞬間に売ってしまうでしょうね。


