北米

2025.06.21 13:00

「ゴリラ」と呼ばれる将軍、トランプ政権が対イラン軍事作戦で重用

米中央軍(CENTCOM)司令官のエリック・クリラ大将(Photo by Win McNamee/Getty Images)

米中央軍(CENTCOM)司令官のエリック・クリラ大将(Photo by Win McNamee/Getty Images)

米トランプ政権のピート・ヘグセス国防長官は、中東での米軍の軍事行動の指揮権限を、対イラン強硬派として知られる米中央軍(CENTCOM)司令官のエリック・クリラ大将に委ねたと報じられている。イラクやアフガニスタンでの従軍経験を持つクリラ大将は、屈強な体格と威圧感のある風貌から、メディアや軍関係者の間で「ザ・ゴリラ」と呼ばれている。

ニュースサイトPoliticoは、複数の匿名の国防関係者の話として、バイデン大統領に任命されたクリラ大将が、国防総省の内部で中東問題の主要な助言者としての地位を確立しており、他のどの将軍よりも頻繁にトランプ大統領とも面談していると報じている。

また、ヘグセス長官は、クリラ大将からの中東への追加戦力派遣の要請を一度も拒否したことがないと、事情に詳しい人物は述べている。この要請には追加の戦闘機が含まれており、統合参謀本部議長のダン・ケイン将軍や国防総省の政策責任者、エルブリッジ・コルビーらは、中東への追加の武器供与に難色を示していたという。

ヘグセス長官の元主要アドバイザーのダン・コールドウェルは、YouTubeチャンネル『Breaking Points』のインタビューで、クリラ大将が中東の重要性に関して「他のトランプ政権の関係者とは根本的に異なる見解を持っている」と語り、「イランに対する軍事作戦が、他の人々が考えるほど多くの犠牲を伴わないと考えている可能性が高い」と指摘した。

コールドウェルはまた、クリラ大将が中央軍司令官としての3年間の任期が終わりに近づくにつれて、より積極的に発言するようになっていることを示唆した。

一方、国防総省のショーン・パーネル報道官は、ヘグセス長官がクリラ大将に権限を委ねているという見方を否定し、「長官はすべての指揮官に同様の裁量権を与えており、指揮権を分散させ、彼らの現場での専門性を活用している」とPoliticoに語った。別の国防当局者は、クリラ大将とケイン将軍が、緊密に連携をとっていると語った。

軍事介入を否定せず

クリラ大将は、今月初めに開かれた議会の公聴会で、自身がイランの核兵器開発を阻止するために「幅広い選択肢」をヘグセス長官とトランプ大統領に提示したと述べていた。彼は「イランが核計画を放棄しない場合は、中央軍が圧倒的な軍事力で応じるのか?」と問われると、「その通りだ」と答えていた。

クリラ大将は、2024年の中東訪問の際に部下の兵士を暴行したとして、陸軍主導の調査の対象となっていた。NBCニュースが伝えたところによると、クリラ大将は、イスラエルに向かう航空機の中で空軍兵を突き飛ばしたと、3人の匿名の米当局者が証言したという。中央軍は当時、この件に関する調査について「把握していない」と述べていた。

現在59歳のクリラ大将は、中央軍の資料によるとミネソタ州エルクリバー出身で、1988年に陸軍歩兵将校として米軍に入隊した。陸軍士官学校を卒業した彼は、1989年の米軍のパナマ侵攻や1990年の湾岸戦争に従軍した。また、1990年代のハイチやボスニア、コソボの紛争にも派遣された。

クリラ大将は、これまで2度のパープルハート勲章(名誉負傷章)を授与されたほか、2005年にはイラクでの戦闘で勇敢さを称えるブロンズスターメダル(青銅星章)を授与された。彼は、2022年にバイデン前大統領の指名によって中央軍司令官に就任する以前は、第82空挺師団の指揮官および中央軍の参謀長を務めていた。

forbes.com 原文

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