働けなくなるまで働いていた時代は過去のものになった。ビジネスの原則の多くは変わらないが、労働力の構成や考え方は急速に変わりつつあり、生産性のリスクも同様だ。職場全体で「静かな退出」が起きている。米世論調査会社ギャラップの最近の報告書によると、米国の従業員の労働時間は過去5年間で着実に減少しており、1週間の労働時間は2019年には平均44.1時間だったのが2024年には42.9時間に減っている。
労働時間の減少幅は世代によって差がある。35歳未満の人の労働時間は2時間近く短くなっているが、35歳以上では1時間弱だ。この週当たりの減少を年換算すると、35歳以上では1週間分、35歳未満では2週間分になる。表面的にはこの差はわずかなものに見えるかもしれない。だがこの変化を放置すると、組織全体で重大な生産性とエンゲージメントの問題に発展する可能性がある。
生産性低下の原因
この生産性の低下は、労働時間だけの問題ではない。働く人の価値観やウェルビーイングにおける、より広範な変化の一部だ。問題の核心は燃え尽き症候群(バーンアウト)にあり、企業に毎年数百万ドルの損失をもたらしている。燃え尽き症候群は単なる肉体的な疲労ではない。精神や感情、やる気の消耗が最終的に肉体的な衰えとなって現れることが多い。
労働者のエンゲージメントも低下している。ギャラップの別の報告書によると、米国の労働者のエンゲージメントの水準は2024年に過去10年間で最低となり、仕事に積極的に取り組んでいる労働者はわずか31%だった。労働時間が減っている35歳未満の労働者の生産性が大きく低下している。価値観や優先順位が変化する中、若い世代は意義や連携、雇用主の支援を求めている。給与は重要な要素だが、それだけでは十分ではない。目的意識とつながりがなければ離職を考え始める。



