この期間の大半は中国の独壇場だった。98カ月間のうち49カ月(4年1カ月)間、米国の携帯電話輸入では中国が80%を超えるシェアを保ち、50%を下回ることは一度もなかった。それが崩れたのが今年4月だった。
また、携帯電話だけでなく、携帯電話ネットワークを適切に機能させるために使われる機器類を含めた広いカテゴリーでも、中国は米国の輸入元として1位から3位に転落した。ルーターなどの通信機器で強みを持つベトナムが4月に1位に浮上し、インドが2位、その次が中国という順位だった。
関連機器を含めたカテゴリーでの中国の落ち込みぶりも、携帯電話本体の場合と同様にかなり劇的だ。昨年10月には中国が53.28%を占めていたが、半年後の4月には14.14%まで急落した。同じ期間に、ベトナムの割合は14.88%から23.44%へと2倍近くに高まり、インドは5.15%から19.51%へと約4倍に上がった。
携帯電話本体を除く携帯電話ネットワーク機器のカテゴリーもかつては中国が支配し、2007年8月に1位に立って以降、2022年1月にベトナムに奪われるまでその座を維持していた。現在、中国はこのカテゴリーでタイ、メキシコ、台湾、マレーシアの後塵も拝している。
米国向け携帯電話ネットワーク機器の分野で中国が退潮してきたのは主に市場原理による。それに対して米国向け携帯電話の分野で中国がトップの座を失ったのは、トランプに始まり、超党派の支持で続けられている貿易戦争が原因だ。


