経済

2025.06.20 09:30

米国の携帯電話輸入、中国がついに1位陥落 貿易戦争の節目に

i viewfinder / Shutterstock.com

中国が1位をキープしていた期間は長く、この間、2007年に米政府は携帯電話の輸入分類の見直しも行っている。携帯電話はそれまで、年輩の方ならご存じであろうウォーキートーキー(トランシーバー)の同類の製品という扱いだったのが、このときに電話の一種として扱われるようになった。

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ついでに言えば、生活にもはや不可欠なものになっているこのすばらしい携帯端末は、「電話」よりもむしろ「コンピューター」の一種として分類したほうがもっと適切ではあるまいか。

それはさておき、米国の携帯電話輸入元で中国が1位から転落するというのは本当に驚くべき動きだ。携帯電話は中国製造業の代名詞と言ってもいいような製品であり、最近それをテーマにした新刊も出た。パトリック・マギー著『Apple in China: The Capture of the World’s Great Company(仮訳:アップル・イン・チャイナ──偉大な世界的企業はいかにして取り込まれたのか』だ。タイトルからうかがえるように、この本は米アップルやティム・クック最高経営責任者(CEO)、中国に手厳しい内容になっている。

中国が2位に転落するまでの事態の展開は急だった。

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昨年9月時点では、中国は米国の携帯電話(国勢調査局の現在の記載では「スマートフォン」)輸入の91.30%を占めていた。ところが、12月にはその割合が80%を切り、今年1月には70%を下回り、2月と3月にはかろうじて50%を超える程度にまで下がった。

そして4月、米国の携帯電話輸入に占める中国の割合は26.95%まで落ち込んだ。一方、中国が9割超を占めていた昨年11月にたった4.92%だったインドの割合は、4月に57.75%に急上昇した。言うまでもなく、インドではアップルがiPhoneを生産していて、そのおよそ9割が米国向けになっている。

4月には、ベトナムの割合も14.09%に高まった。昨年11月には3.14%しかなかった。インド、中国、ベトナムの3カ国は2017年2月以降98カ月(8年2カ月)にわたり、米国の携帯電話輸入の95%超を占めている。ベトナムからはアップルのほか、韓国のサムスン電子、米グーグルが米国向けに携帯電話を出荷している。

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翻訳・編集=江戸伸禎

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