2. フィードバック内容や話す相手を戦略的に選ぶ
「フィードバックを伝える前に、その内容が伝える相手にとって役に立ち、適切なものになるように念を入れるべきだ」と、ポクはアドバイスする。「加えてより幅広い文脈や、フィードバックが及ぼす影響についても、考慮するといいだろう」
一例として、企業の上級幹部にフィードバックを伝えるなら、相手の地位や統括する業務分野にとって意味がある内容にすることを、同氏は勧めている。
「フィードバックをする側が、当初は『この人にとって重要な内容だ』と思っていても、その問題に関してより直接的かつ日常的な業務経験を持つ人物にフィードバックする方が適切だった、というのはよくある話だ」と、ポクは指摘する。「わざわざフィードバックをするのなら、相手のエンゲージメントを高めるような形でしたいはずだ。ゆえに念には念を入れて、適切な相手であるかを検討すべきだ」
ポクはさらに、フィードバックを伝えても相手にとってそれが差し引きでプラスにならない可能性もあると警告した。こうしたケースでは、フィードバックを別の機会にとっておく方がプラスに働くかもしれないと、助言している。
3. 相手との関係に応じて、話のトーンを調整する
相手に合わせてフィードバックのトーンを調整する重要性を、ポクは強調する。そして、そのためにいくつかのポイントを自問してみるといいという。話す相手と長きにわたるやりとりがあったか、しっかりした信頼関係を築いてきたか、自分が本心から相手のためを思っていると理解してもらえるか、といった点だ。
もしこの3つが当てはまるなら、率直なトーンの対話が適切だろうとポクは述べる。一方で、これまでのやりとりがあまりない場合は、もっと慎重になり、「情報を共有するのであれば、この人ではなくもっと適切な人がいるのでは?」と、自問することを検討した方がいいかもしれない。
4. 適切なタイミングを選ぶ
ポクによると「フィードバックは、そのきっかけとなった出来事が起きてからできるだけ速やかに伝えるべきだ」という。「相手が先入観なく話を聞けて、集中を削ぐような要素がないタイミングで伝えよう。具体的、あるいは急を要する状況が発生した際には、この点が特に重要になる。フィードバックを伝えるまでに時間を空けすぎると、状況を修正するチャンスが失われてしまったり、相手がもはや状況を思い出せなくなっているおそれもある」
さらにポクは、公の場でフィードバックを受けることは誰も望んでいないという点を、肝に銘じるべきだと述べた。そして「私が社会人になりたてのころには、ミーティングの最中、誰もが見ている場でチームに向かって批判を口にすることを誇りに思っている、そんな企業幹部の話が出回っていた」と振り返る。「言うまでもないことだが、そういうフィードバックはきちんと受け止められなかった。そうした発言をした幹部の評判は、損なわれた」
5. 明確さと簡潔さを最優先する
フィードバックの際には伝えるべき内容を極限まで明確にし、さらに簡潔かつ建設的な形で伝えるようにと、ポクはアドバイスする。「どんな場合でも手短に伝えられるなら、それに越したことはない。事前にリハーサルをして、簡潔に言いたいことを伝えられるよう気を配り、伝えたいと思っている要点からそれてしまうような、不必要なディテールは加えないことだ」


