新たな新入社員研修──1日目からリーダーシップを教える
いまや、全ての従業員がAIを管理しているのなら、全従業員がリーダーシップトレーニングを受ける必要がある。
だが、たいていの組織にはその備えがない。
マネジメント能力の開発は、いまだにオプション的な追加物として扱われている。つまり、個人的な貢献を自力で証明して昇進した人に対して、提供される特権としてだ。
そうした考え方は、もはや通用しない。
なぜならAI時代には、職場のデスクについた瞬間、単純に仕事をこなすだけでは済まなくなるからだ。仕事の指示も自分で出す。そして、人間を管理する立場ではなくても、品質、影響、調整の責任を負うことになる。
したがって、従来は新しい管理職だけが受けていたトレーニングは現在、すぐに必要なものになっている。具体的には、仕事の他への委ね方、評価方法、問題が起きたときの介入の仕方、不確実な状況での指導方法、決定事項を戦略に合わせて調整する方法などだ。
そうしたトレーニングを、新人研修に組みこむ必要がある。従業員能力開発の一部として、インターンや新入社員、さらには学生の訓練に組みこむのだ。
これは、ソフトスキルのシフトではない。構造的なスキルだ。そしてそのためには、新たなアプローチによる能力開発が求められる。つまり、全ての従業員が(人間の部下を持たない場合でも)システムのリーダーになることを想定するアプローチだ。
新たなキャリアパスは、AIを指揮することから始まる
このシフトは、単なる能力の話ではない。「期待されること」に関係するものだ。
近いうちに従業員たちは、職務上の専門性以上のものを備えることを期待されるようになるだろう。判断力、掌握力、テクノロジーを通じて自分を拡張する能力を期待されるのだ。
これは、単なる生産性ではない。そして、単なるリスキリングの問題でもない。テクノロジーがチームの一員となり、全従業員がテクノロジーのリーダーとなることを期待される世界に合わせて、リーダーシップの枠組みを改めることを意味する。
こうした新たな労働世界で、従業員に力を発揮してほしいと望むのなら、「管理職になる準備はできているか」と質問するのをやめなければならない。必要なのは、エージェント・ボスになるための準備をさせることだ。


