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2025.06.23 15:00

​​誰もがAIの管理者になる今、必須スキルとは?「エージェント・ボス」の時代がやってきた

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フィードバックは、ワークフロースキル

かつての管理職は、定期的なレビューを実施して建設的なフィードバックを提供し、部下の成長を後押しし、結果が出ないときには指示を調整するように訓練されてきた。エージェント・ボスも、AIモデルを相手に同じことをする。

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リアルタイムで成果物をモニタリングし、結果の品質をレビューし、矛盾点を見つけ、ワークフローを微調整する。つまり、プロンプトの表現を変え、パラメーターを調整し、最初に使ったツールが期待に沿わないときにはより良いツールを選ぶ。

例:履歴書をふるいわけるのにAIを使う採用担当者は、AIの出した順位をそのまま受け入れているわけではない。矛盾点に気付き、見落としをレビューし、基準を調整し、雇用の優先順位をより適切に反映させるように、モデルを再トレーニングしている。

ツールの信頼問題、結果に責任を持つ

従来の管理職は、明快さ、一貫性、継続性を通じて信頼を築いていた。こうした「信頼の方程式」は、AIが相手になるとシフトする。例えば、どんなときにモデルを信頼するのか? どんなときに無視するのか? 自分がすべてをつくったわけではない結果に対して、どうやって説明責任を保つのか?

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例:ある金融アドバイザーは、AIを使って投資シナリオの草稿を書いているが、レビューと推奨事項の作成は手作業で行う。すべてを無条件に信頼するのではない──信頼は管理されているのだ。

かつては管理職のものだった職務が、現在ではAIを仕事に使うあらゆる人の日常になっている──マーケティング計画でも、雇用プロセスでも、サプライチェーンでも、カスタマーサービスのスクリプトでも。そして、従業員がAIにそうした指示を出すのであれば、これまで管理職に提供されていたようなトレーニングを受けてしかるべきだ。

人ではなく、プロセスを調整する

かつての管理職は、各人に期待されることを定め、人々の動きを調整し、誤解が生じたらそれを解決するように訓練されていた。エージェント・ボスにもそうしたスキルが必要だが、そのスキルは、人間と機械をまたいで適用される。

従来の「人間相互のコミュニケーション」は現在、「システムを組織するスキル」になりつつある。AIに対しては明快で構造化されたもの、人間に対しては協働的なもの、といった具合だ。

軋轢が起こる場合、それはもはや、人間同士のものとは限らない。それは構造的なものだ。「そのタスク」の責任者は誰だろう? 何を自動化する? 人間の手を必要とするものは何か?

例:カスタマーサービスチームの責任者が、チケット(顧客からの問い合わせ)が見過ごされていることに気づく。その原因は、誰かがミスをしたのではなく、エージェントと人間の双方が、相手の担当範囲だと思っていたことにある。これを解消する策は、フィードバックセッションではない。ワークフローの再設計だ。

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翻訳=梅田智世/ガリレオ

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