暗号資産

2025.06.20 08:00

上場企業がビットコインを爆買い、「暗号資産トレジャリー」の熱狂

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レバレッジがリターンを増幅させるため、ビットコインなどの暗号資産の価格が上昇すれば、これらの企業の株はより大きな利益を生み出すことになる。また、ヘッジファンドやオプション取引業者が好むボラティリティも重要な要素と言える。レバレッジの効いた暗号資産を抱えるこれらの上場企業の株価は、暗号資産の価格と連動して大きく変動する傾向があり、投機的なトレーダーにとって理想の投資対象となっている。

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暗号資産に特化した資産運用会社Bitwiseのアクティブ運用部門のジェフ・パークは、「今の市場には、規制の枠組み内で暗号資産にアクセスしたいと考えるさまざまな投資家が存在している。これらのトレジャリー企業は、そうした多様な投資ニーズを満たそうとしている」と述べている。

しかし、こうしたトレジャリー企業を他と差別化しているのは、レバレッジやボラティリティのみではない。公開市場での活動を通じて、彼らは急速に規模を拡大することが可能になっている。これらの企業は、主要な証券取引所への上場を通じて、一夜にして莫大な資金を調達して、大胆な賭けを行える。また、安価なコストで容易に借り入れができる点も、暗号資産トレジャリー企業を魅了していると、パークは指摘した。

そして、従来型の新規株式公開(IPO)はコストが高く、多くの場合、複数の弁護士が必要で、数年を要することもある。そのため、ストラテジー社に続こうとする企業の多くは、SPACや既存の上場企業との合併を選ぶことになる。

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ソフトバンクの支援先も

その一つに挙げられるテザーとソフトバンクが支援する「21キャピタル」は、ラトニック米商務長官の息子が会長を務める米投資銀行キャンターフィッツジェラルド傘下のSPACと、企業価値を36億ドル(約5220億円)とする取引での合併を目指している。「キャンター・エクイティ・パートナーズ」と呼ばれるこのSPACの株価は、わずか2カ月前には10.80ドルだったが、現在は35ドルに急騰している。

また、元大統領候補のヴィヴェック・ラマスワミが率いるストライヴ・アセット・マネジメントは、5月に時価総額が8600万ドル(約125億円)のコンテンツ配信ソリューションを提供する企業、アセット・エンティティーズと逆さ合併し、ビットコインを購入する計画を発表した。この発表以降、アセット・エンティティーズの株価は約0.60ドルから一時13ドルまで急騰し、現在は5.42ドルで取引されている。

パークは、これらの企業の株価が、合併の完了前から大きく動いていることを、「少し不安に思う」と述べているものの、それでもこの波に乗った企業には明るい未来があると考えている。「この先に巨額の資金がビットコインに流れ込むという見方を信じるならば、誰よりも早く動くことが重要だ」と彼は指摘した。

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編集=上田裕資

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