音楽家・小林武史が東京ドームで挑んだ「カーボンニュートラルなフェス」

「ap bank fes '25 at TOKYO DOME 〜社会と暮らしと音楽と〜」©ap bank

「楽しむ」からはじまる、持続可能な未来

全国から何万人もの来場者が各種交通機関を利用して移動するため、イベントを開催するだけで膨大なCO2が発生する。ap bank fes ’25では、このCO2を含むGHG排出量(地球温暖化の原因となる温室効果ガスの排出量)を算出し、それらをオフセット(=カーボンオフセット)することに取り組んだ。

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GHG排出量の事前算定にあたったのは、気候テックのグローバル企業アスエネ。イベント由来の排出量を最小限に抑える努力を行うことを目的に、イベント主催者や参加者の移動、エネルギー使用、廃棄物の処理などを含めたCO2排出量の事前算定を実施した。

運営会社や設備会社等の協力のもとで推定されるそれぞれの活動量から算定した結果、総CO2排出量は894t-CO2に上ることがわかった。以下に内訳を示す。

〈算定項目ごとのCO2排出量と割合〉
総排出量:894t-CO2
参加者の移動:682t-CO2(76.3%)
物販・飲食:85t-CO2(9.4%)
会場設営(演出):82t-CO2(9.1%)
エネルギー使用:34t-CO2(3.8%)
廃棄物:8t-CO2(0.9%)
主催者の移動:3t-CO2(0.3%)

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算出した排出量データは、会場内のスクリーンや、東京ドームのデジタルサイネージで掲示された。さらにイベント開催後には、実際に発生した環境負荷の影響を正確に評価することを目的に、事後算定を実施した。

気候変動という大きな課題を前に、こうした試みはあまりにも小さく映るかもしれない。だが、GHG排出量を算定し、削減・オフセットするこれらの取り組みは、環境負荷軽減のカギとなるといわれている。来場者が環境負荷を意識し、持続可能な行動を選択できる仕組みにつながるからだ。

「ap bank fes '25」の会場各所に、イベント全体のCO2排出算定結果が掲示された
「ap bank fes '25」の会場各所に、イベント全体のCO2排出算定結果が掲示された

国連の報告によると、現在のペースで温室効果ガスの排出が続けば、今世紀末までに世界の平均気温は最大3.1℃上昇する見通しが示されている。また、IPCC第6次評価報告書では、気候変動の主因が人間の活動であり、特に化石燃料の消費が影響していることが科学的に確定した。

カーボンニュートラル公演を通じて、一人ひとりがよりよい未来につながる行動を意識し、小さなアクションを積み重ねることで、私たちが望む未来へ近づくことができる。心地よさと環境負荷の軽減の両立は、決して実現不可能ではないということを、ap bank fesは実証している。

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