在宅のデスクでパソコンに向かい続ける日々。カレンダーに赤い文字で書かれた祝日も、多くのフリーランスにとっては「いつもの平日」と変わらない1日だ。
フリーランスと企業のマッチングサービスを運営する株式会社テックビズが全国のフリーランス500名を対象に実施した調査によると、60.4%が「休日の概念がない」と回答し、58.0%がメンタル不調を経験していることが明らかになった。自由な働き方の象徴とされるフリーランスの裏側に、深刻な心理的負担が潜んでいる実態が浮かび上がった。
「仕事とプライベートの境界が曖昧」が最大の要因
休日の概念がなくなった理由として最も多く挙げられたのは「仕事とプライベートの境界が曖昧」で59.6%。次いで「必要に応じて対応する必要がある」(41.1%)、「収入が不安定で働かないと不安」(38.1%)が続いた。

在宅ワークが主流のフリーランスにとって、自宅が職場でもあることの弊害が表れている。会社員なら「退社」という物理的な区切りがあるが、フリーランスにはそれがない。結果として、常に「働けるのに働かない罪悪感」に悩まされることになる。
収入不安定が心の健康を直撃
この1年でメンタル不調の兆しを感じた58.0%の人に聞くと、その原因は「収入の不安定さ」が53.8%で最多となった。続いて「将来への不安」(49.0%)、「仕事量の変動」(32.4%)も上位に入り、経済的な不安定さが心理的負担に直結している状況がうかがえる。

会社員なら毎月決まった給与が支払われるが、フリーランスは案件の受注状況によって月収が大きく変動する。「今月は良くても来月はどうなるか分からない」という先の見えない不安が、常に心の重荷となっているようだ。
約6割が休日にネガティブな感情を経験
さらに深刻なのは、57.2%のフリーランスが休日にネガティブな感情を抱いたことがあると回答した点だ。その背景には「収入減への不安」が根強く存在している。
具体的な理由として最も多いのは「仕事の機会や収入を逃す焦り」(27.6%)で、次いで「やるべき仕事を先延ばしにする後ろめたさ」(19.6%)、「休んでいることへの罪悪感」(13.8%)と続いた。

特徴的なのは、これらの多くが外部からの圧力ではなく、フリーランス自身の内面から生まれる感情だという点だ。「休むべきではない」「常に働くべきだ」という自己規律が過度になり、結果として自分自身を精神的に追い詰めてしまっているようだ。



