欧州

2025.06.23 09:00

ロシアとウクライナの「エネルギー戦争」、発電施設を破壊するそれぞれの目的

ウクライナ中部キーウ州で、ロシア軍のミサイル攻撃を受け破壊された熱電供給施設。2024年10月17日撮影(Eduard Kryzhanivskyi/Ministry of Foreign Affairs of Ukraine/Global Images Ukraine via Getty Images)

ロシア軍によるウクライナの発電所への攻撃

ロシア軍によるウクライナ国内のエネルギー施設への攻撃は、同国の送電網を破壊し、あらゆる種類の基本サービスに影響を及ぼしており、市民は絶え間ない苦闘を強いられている。そのため、ロシアは晩秋から冬にかけて、寒さが厳しくなる時期にエネルギー施設への攻撃を強めている。

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最も重大な攻撃の1つは、ウクライナ中部を流れるドニプロ川に位置する大規模なカホフシカ水力発電ダムに対するものだった。同ダムは2023年6月に爆発で崩壊し、下流の集落が洪水に見舞われ、多数の死者や行方不明者が出た。ロシアはウクライナ側にこの災害の責任があると非難したが、少なくとも他の6カ所の水力発電施設への攻撃にロシア人兵士が関与していたことが確認されている。

ロシア軍は侵攻開始から数カ月後に、ウクライナ南東部のザポリッジャ原子力発電所を砲撃し、占領した。総出力57億ワットに及ぶ6基の原子炉を擁する同発電所は欧州最大の原子力発電所で、ロシア国内のどの原子力発電所よりも大規模だ。爆発や銃撃、ドローン攻撃が繰り返し同発電所を脅かし、建物や設備に損傷を与えている。

国際原子力機関(IAEA)による現場の綿密な監視と視察により、本稿執筆時点では、同発電所のすべての原子炉が稼働を停止しており、使用済み燃料プールも無傷で、放射線漏れもないことが確認された。だが、IAEAのラファエル・グロッシ事務局長は、「原子力安全に対する危険は依然として極めて現実的で、常に存在している」と警告した。IAEAは、ロシアの攻撃により電源が失われ、原子炉の冷却システムに一時的な影響が出た、リウネ、フメリニツキー、南ウクライナの各原子力発電所にも調査団を派遣した。

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米誌タイムが伝えたところによると、迅速な修復に向けた努力にもかかわらず、ウクライナの電力系統は50%以上失われた可能性があるという。他方で、ロシア政府は自国軍に対し、ウクライナを通る天然ガスパイプラインを攻撃しないよう命じている。これは、ロシアが戦勝した場合、これらのパイプラインを使って再び欧州に自国産の天然ガスを輸送しようともくろんでいるためだ。

一方、ウクライナは今年1月1日、この流れを遮断し、60年に及ぶ接続の時代に終止符を打った(訳注:ウクライナは2024年12月末で自国を通るパイプラインを使用したロシア産天然ガスの欧州向け輸送契約を打ち切った)。将来的には、たとえ平和が実現したとしても、ウクライナが再び国家として必要なエネルギーを国民や産業に供給できるようになるまでには莫大な費用がかかることは間違いない。

forbes.com 原文

翻訳・編集=安藤清香

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