米国で最も住みやすい都市
米国の都市は今年も世界の上位20位以内に入ることはできなかったが、悪いニュースばかりではなかった。ハワイ州ホノルルが2年連続で全米ランキングの首位を守った。同市は世界ランキングでは23位だった。2位には世界ランキング29位のジョージア州アトランタが入った。これに加え、ペンシルベニア州ピッツバーグ(世界ランキング30位)、ワシントン州シアトル(同34位)、ワシントン(同38位)が全米の上位5位を占めた。
米国の都市は教育分野で高い評価を得ており、世界の他の地域より高い得点を獲得した。その一方で、同国は社会不安と銃乱射事件で評価を下げた。報告書の著者らは「銃規制法が弱いと犯罪は暴力的で致命的になりやすく、社会の結束を損なうことになる」と批判した。
しかし、米国にとって良い知らせもある。14都市が世界ランキングで順位を上げたのだ。その中にはフロリダ州マイアミも含まれ、昨年の47位から44位に浮上した。マイアミはオレゴン州ポートランドと並び、全米ランキングでは6位となった。EIUは、今年は全米21都市のうち14都市が順位を上げたが、その大半は他の都市が順位を下げたことによるものだと説明した。
一方、ニューヨークは世界ランキングで69位、ロサンゼルスは同57位と、米国の大都市は振るわなかった。これらの大都市は文化的な面では充実しているが、安定性や社会基盤の面で評価が低く、苦戦を強いられた。
EIUは「米国のドナルド・トランプ政権が教育と医療への公的支出の削減を提案しているため、同国の都市は今後の報告書で格下げされる可能性がある」としている。
都市の住みやすさに関する世界的な傾向
では、今年のランキングは世界の住みやすさの現状について何を物語っているのだろうか? 全体の平均点は昨年から横ばいの76.1点だったが、今年の結果はまちまちだった。
EIUは、「地政学的緊張や住民の不安、住宅危機の中で、安定性の評価は全体的に下がり続けている。西欧の複数の都市ではテロ攻撃のほか、各種犯罪や外国人差別の発生率の増加により安定性が損なわれている」と説明した。他方で、医療、教育、社会基盤の評価は改善した。サウジアラビアとアラブ首長国連邦(UAE)の都市はこれらの項目で特に大きな伸びを示し、中東・北アフリカ全体の得点の上昇を後押しした。


