寺田:いまだにそんなに赤字なんですか?
川上:使いまくっていますからね。
寺田:何に投資するんですか?
川上:まず、教材制作費ですね。あとは、広告というよりは、N高に通っている子たちに自信をもってもらいたいので、プロモーション費にもそれなりのお金を入れている。それと、通学キャンパスがちょうど100カ所になったんです。
本城:100カ所! 47都道府県制覇ですか?
川上:まだまだですね。40都道府県くらいです。最近毎年30カ所ほど増やしています。
本城:それは地方の私学にとっては脅威ですよ。中学生たちは、近くの公立や私立とN高、S高を比べて検討するでしょうね。
川上:いやいや。でも少子化で何が起こるかというと、学校の数が多すぎるので、減らざるをえない。地方で減ったらその地方の子たちは行く学校がなくなってしまう。そういう子たちの受け皿になる、という意味合いもあります。N高やZEN大があろうがなかろうが、どちらにせよ統廃合は起こるので、その受け皿ってやはり必要。日本の財政だって厳しくなっていくわけですから、そのなかで効率的な教育の質を維持する方法として僕らは必要だと思います。
見えない学びが最も重要
川上:風越は、今何人くらい生徒がいらっしゃるんですか?
本城:今、290人です。下は3歳、上は15歳まで。来年から2歳児も受け入れるので、計13年間になります。もう少し小さいころからかかわりたい、と。オムツをしている時くらいから子どもや保護者とコミュニケーションをとっているとその後、思春期にいろいろあっても「大丈夫、大丈夫」、と子どもの育ちをゆったり見守れますね。
川上:それはいいですね。やはり自分の子どもをもって成長過程を見ると、幼児教育がいちばん大事な気がしますね。ちょうど娘が生まれたころにディープラーニングが出てきて。ディープラーニングの理解と子どもの教育の理解が僕の頭の中では同期して進行していったんですが(笑)、小学校以降、中高は完全にそうですけど、トランスフォーマーでいうところの最も出入力層に近い言語レイヤーの勉強をしているだけ。真ん中の層にあたる思考の部分は学校では教えてないよな、と。当たり前なのですが、学校以外の経験が重要だな、というのを子どもをもって感じましたね。書物の勉強より、体を動かすことが大事なんだ、と言う大人はたくさんいます。今まで何となくきれいごとを言ってるように感じていましたが、現実的に考えてそれが正しいな、と。
本城:どれだけ身体で実感をもって体験しているか、というのは大切ですよね。
寺田:僕も神山町に行ったときには、学生たちとかなり激しい感情のぶつけ合いをしました。僕の場合は特にそうですが、社会の中で人とガチンコで向き合っていくことが求められるのですが、コロナもあったせいか、そのスキルと経験が若い子たちは身についていないところがある。SNSが中心になっていて、それが悪いとは言わないんですが、一歩踏み出すコミュニケーションができるようになったほうが強いのではないか、と思っています。


