いま、シリコンバレーでは「起業」と「ベンチャー投資」の民主化が同時に進行している。スタートアップがVCから資金を調達するプロセスも、VCがスタートアップに投資する側も、かつては学歴・人種・人脈に強く偏っていたが、今その壁が崩れ、多様性と開かれたアクセスを重視する流れが加速している。
この変化の最前線にいるのが、新興VCのHustle Fundだ。2017年、アジア系アメリカ人2人とシンガポール人1人によって設立されたこのファンドは、「誰にでもチャンスがある」という理念を体現する存在として、新興VCコミュニティの形成を力強く支えている。今回は、共同創業者であるShiyan Koh(シーヤン・コー)氏に、Hustle Fundの投資哲学と日本への期待について話を聞いた。
━━まずは、日本の読者にHustle Fundについて説明してください。どのようなファンドで、共同創業者のみなさんはどのようなバックグラウンドですか?
Shiyan:Hustle Fundは、起業初期のプレシード段階に特化して投資するグローバルVCです。起業チームの「ハッスル(実行力)」、スピード感、マーケットに対する深いインサイトを重視して投資判断を行っています。これまでに、WebflowやNerdwallet、Gammaなどにも投資しています。
共同創業者は3人いて、私たちは25年前、スタンフォード大学の同級生として出会いました。
Elizabeth Yinは、AdTechのスタートアップを起業・売却した後、500 Startups(編集部註:500 Globalの前身)で多数の起業家に出資・支援していました。Eric Bahnは教育系スタートアップを立ち上げ、売却後はInstagramの初期プロダクトマネジャーとして活躍。その後、起業家教育やコミュニティ作りに多大な情熱を持っています。
私はというと、ブリッジウォーター・アソシエイツやIVPなどで投資のキャリアを積んだ後、Nerdwalletに10番目の社員として参画し、売上が1億5千万ドルに到達するまでビジネスオペレーション全般を担当しました。