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2025.07.01 15:15

「マイクロVCの勃興」シリコンバレーで広がるベンチャー投資の民主化【前編】

シリコンバレーで開催されたCamp Hustleの様子 Courtesy of the Author

マイクロVCが増える背景とその進化

マイクロVCとは、一般に1000万〜5000万ドル規模のファンドを運用し、プレシードやシードといったアーリーステージに特化して投資を行うVCを指す。規模が比較的小さいため、1〜2名のジェネラル・パートナー(GP)を中心とした少数精鋭チームで構成されることが多く、特定分野に絞ったテーマ型の運用が主流となっている。意思決定が迅速で、小回りが利くことに加え、専門領域においてはよりハンズオンな支援が可能であり、起業家にとってフレンドリーな投資家と言える存在だ。

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筆者のHBS同級生の間でも、卒業から5〜10年が経過した頃から、マイクロVCを立ち上げる動きがちらほらと出始めてきた。起業でのエグジットを経た人、大手VCファームから独立した人、テック企業からキャリア転換した人など、その背景は実に多様である。筆者が関わってきた暗号資産業界でも、業界内での実務経験を活かし、クリプト特化型ファンドを設立する例が数多く見られるようになってきた。

現在、マイクロVCの数は推定で1000〜2000にのぼると言われている。これほどまでに拡大した背景には、いくつかの構造的な要因がある。

• 大型VCの巨大化による初期投資の空白
セコイア・キャピタルやアンドリーセン・ホロウィッツ(a16z)のような著名VCは、肥大化し続け、百億ドル以上の規模のファンドを運用するようになり、プレシードやシードといった初期段階の少額投資案件には投資しにくくなっている。またExitまでの期間が年々長期化しており、プレシードからの投資では、ファンドの運用期間中にIPOやM&Aを実現することが難しくなってしまう。そのため、そのアーリーステージの空白にマイクロVCが入り込み、活動を広げている。

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• 専門領域に深く切り込む特化型VCのニーズの高まり
AIやロボティクスなどのディープテック領域では、深い技術理解と業界ネットワークを備えた投資家による支援が求められており、特化型マイクロVCのニーズが高まっている。


• ファンド運営インフラの標準化・低コスト化
 起業インフラが整備され、起業コストが低下したのと同様に、ファンド運営に必要な管理ツールやバックオフィスサービスも標準化・低コスト化が進み、ソロGPでもファンドを立ち上げやすい環境が整ってきている。

次ページ > マイクロVCのコミュニティ形成

文 = 吉川絵美

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