中国からの観光客が日本で大量の買い物をするいわゆる「爆買い」が一時話題になったが、このところ、その消費行動に変化が見られるようになった。大量に物を買ってくれるのは今までどおりだが、嗜好性が変わってきている。中国人観光客を呼び込みたい業者は、その傾向を把握しておくといいだろう。
上海と北京を拠点に中国市場向けECサイトの運営支援などを行うunbot(アンボット)は、訪日中国人旅行者の最新動向を発表した。2019年と2024年を比較すると、旅行費用の総額、宿泊費、飲食費などが軒並み数十パーセントの増加を見せている。

買い物費は、そのほかの項目と比べて額の桁が違うため(1人あたりおよそ10万円)、依然として爆買いは健在だと言えるが、わずかながら減少傾向にある。飲食は約35パーセント、娯楽サービスは約80パーセントと大きく伸びているところを見ると、買い物よりも「体験」に軸足がシフトしているようだ。
買い物の内容も変化している。2019年は化粧品や香水がトップだったが、2024年は菓子類がトップに躍り出た。これは、化粧品や医薬品が中国国内や越境ECで簡単に手に入るようになったことから、「その場でしか買えない限定商品の価値」に関心が移ったためだとUnbotは分析してる。

買い物場所は、2019年はドラッグストアがトップだった。化粧品がいちばん人気だったことからも推測できる。それが2024年にはコンビニに取って代わられた。とくに、「その場でしか買えない」コンビニスイーツの人気が高まっているということだ。それが手ごろなお土産にもなっている。
これが「モノからコト」へのシフトを表していると単純に考えるのは早計だとunbotは釘を刺す。宿泊費などが高騰して旅行費用の総額を押し上げているという側面があるからだ。とはいえ、飲食、娯楽サービスという「体験」に直結する項目の人気が高まっているのは事実。「“選び抜いたモノ”と“自ら体験するコト”の両立が、今の中国人訪日客の消費スタイル」だと同社はまとめている。



