米議会の上院は6月17日、ステーブルコインに関する規制の枠組みを定める法案を可決した。暗号資産業界に大きな前進をもたらすこの法案は、トランプ大統領による暗号資産の取り組みに関し、超党派の議員が利益相反の懸念を向ける中で可決された。
上院は、通称「GENIUS(ジーニアス)法案」を賛成68、反対30で可決した。この法案は、ステーブルコインに対する規制の枠組みを明確化し、その使用や発行および保管を合法化するものとなる。超党派の支持を得て可決されたこの法案は今後、下院での採決に移ることとなる。
この法案は、先週の上院の投票を68対30で通過したことから、17日の採決で可決される見通しとなっていた。この投票では18人の民主党議員が党の方針に反して賛成票を投じていた。
ジーニアス法は先月、民主党の一部上院議員が支持を撤回したことで一時的な障害に直面した。この議員らは、アラブ首長国連邦の支援を受けたファンドのMGXが、トランプ一族の暗号資産企業「ワールド・リバティ・ファイナンシャル」が開発したステーブルコインを使ってバイナンスに20億ドル(約2900億円。1ドル=145円換算)を投資すると発表したことに反発していた。
一部の上院の民主党議員は、トランプ大統領とその家族がステーブルコインによって利益を得ることを防ぐ修正条項を法案に加えるよう求めていたが、最終版には盛り込まれなかった。ただしこの法案には、連邦議会議員やその家族がステーブルコインによって利益を得ることを禁じる条項が含まれている。
「ビッグテックへの大盤振る舞い」
共和党のジョシュ・ホーリー上院議員とランド・ポール上院議員のふたりは、先週の手続き投票でこの法案に反対した。ポール議員はこの業界全般に対する規制に反対しており、ホーリー議員はこの法案が「ビッグテックへの大盤振る舞い」であり、彼らが「何の管理もなしにステーブルコインを発行することを許すものだ」と懸念を示している。
法案可決の背景と利益相反への懸念
この法案は、トランプ一族のビジネスが暗号資産業界への関与を深める中で提出された。この関与により、外国の投資家などが、トランプ氏個人を富ませる可能性のある事業取引を通じて、見返りを求め政権に影響力を行使しようとする懸念が高まっている。たとえばワールド・リバティには複数の外国人投資家が関与しているが、ニューヨーク・タイムズ紙は先日、彼らが連邦法の下でトランプの選挙運動に政治献金を行うことを禁じられていると報じていた。
民主党のエリザベス・ウォーレン上院議員とジェフ・マークリー上院議員は、アブダビに拠点を置く投資会社MGXとワールド・リバティの取引について米国政府倫理局に調査を求めており、もしこの取引が成立すれば「甚大な利益相反であり、憲法違反にあたる可能性がある。しかも米国政府を驚くべき程の外国の影響力にさらし、国家安全保障を危険にさらす見返りが生まれるおそれがある」と主張している。



