最高経営責任者(CEO)をはじめとする組織のリーダーたちは、チーム全体の士気や生産性、ウェルビーイングの向上に絶えず目を配っているが、職場の対立は依然として企業文化と収益を静かに損なっている。職場の対立についてのCPPの報告書『Workplace Conflict and How Businesses Can Harness It to Thrive』によると、米国の労働者は1週間あたり平均2.8時間を対立の処理に費やしており、生産性の損失額は3590億ドル(約52兆円)に上る。この数字は2008年のものだ。今日の二極化した社会情勢では実際のコストははるかに多いだろう。
さらに憂慮すべきことに、労働者の約6割が基本的な対立解決トレーニングを受けたことがない。にもかかわらず、多くの企業はいまだに対立を緊急度の低い問題、あるいは対人関係での不愉快な出来事として扱っており、業績や文化に悪影響を及ぼし得る主要な脅威として扱っていない。心理学者で米テキサスA&M大学の教授、そして『How to Get Along With Anyone』の共著者であるジョン・エリオット博士は「人は見て見ぬふりをするか、『対立』がないふりをしたがる。『対立』という言葉自体が人々を不快にさせる」と語る。
従来の職場対立トレーニングが不十分な理由
従来の職場研修プログラムのほとんどが的外れだ。コミュニケーションのコツやアクティブリスニング(積極的傾聴)、あるいは表面的な想定問答集など、上辺だけの行動に焦点を当て、根本的な原因、つまり人がプレッシャーを受けているときにどう反応するかを無視している。エリオットと共に執筆したジム・ギン博士は、対立を招く5つの核となる性格タイプを特定した。エリオットは筆者に「これらのタイプは、その人の最高の状態を示すものではない」「不意に追い詰められた状況で陥りがちな種類のものだ」と語った。
何事もない日には協力的な態度を示すかもしれないが、プレッシャーがかかると、人はデフォルトのパターンに戻る。あなただけでなく、チームの誰もがそうだ。真の解決策はこうしたパターンに対処することから始まる。以下に5つの対立を招きやすい性格タイプを示す。



