どうすればクライアントと上手に付き合えるのか――。ビジネスパーソンであれば一度はぶつかる壁です。それを乗り越えるのに必要なのが「視点を変える」思考法。自分中心から相手目線へ視点を転換するには、どのような考え方をすればいいのか。一流企業のPRコンサルタント、人気番組の放送作家の二足のわらじで活躍中の野呂エイシロウ氏の最新刊『道ばたの石ころどうやって売るか?』(アスコム)から、一部引用、再編集してお届けします。
あなたが商談で失敗する本当の理由
通常、人間は自分中心で物事を考えます。当たり前ですよね。自分のための人生ですから、どうすれば自分が心地よいか、自分が得をするのか、自分中心で発想するのが人として自然なあり方です。
ただし、自分中心の発想だけだと、仕事でもプライベートでもなかなか上手くいかないのは、みなさんも経験があるんじゃないでしょうか。
例えば、バイヤーにA という商品を売り込もうとします。通常は、バイヤーに理解してもらえるよう、また商品がいかにいいものであるか、特徴的な部分を説明していきます。
ひと通り説明を終えた後、バイヤーからこう質問されたらどうしますか。
「あなたがバイヤーの立場なら、御社のこの商品はどう思う?」と。
この質問で頭が真っ白になってしまうのであれば、あなたはまだ視点を変えることができていません。なんとかその場を取りつくろうと、しどろもどろになりながら「とにかくお客さまに喜んでもらえる商品です」などと言えば、バイヤーからすれば何とも頼りない意見に聞こえてしまいます。
このままでは、商談は失敗するでしょう。
なぜなら、「視点」が一方通行だからです。売り込もうとする気持ちが焦るあまり、自分の言いたいことだけを言って、相手が聞きたいことを説明できていません。それをバイヤーに見透かされているから、「あなただったらどうする?」という質問を逆にされてしまうわけです。仕事のできる人であれば、自然に相手の立場に立って、視点をずらして話ができます。
もっとも今のあなたが、すぐに視点を変えられないからと言って、落ち込む必要はありません。あなたがビジネスパーソンとしてダメダメな訳ではありません。