企業を買うM&Aという手法が、活況を見せている。しかし、その買い方は本当に企業や従業員、ステークホルダーにとって正解なのか。日本経済全体の「ロールアップ」になるための「賢い買い方」実例集を2025年5月23日発売のForbes JAPAN7月号でお届けする。
「スマートバイヤー」とは、M&A用語の「ストロングバイヤー」に模した我々の造語だ。ストロングバイヤーは買収意欲が高く、売却案件が集中する会社のことだが、「スマート」と称した理由は、合併後の戦略やビジョンなど、そのシナリオと中身に注目したいと考えたからだ。文字通りレバレッジを効かせる「賢い」戦略をもっていると編集部が判断したものを集めてみた。
リスト作成にあたっては、官公庁、金融機関、投資家、起業家、M&A業務を行う仲介会社、コンサル会社などに取材し、選出した。業界再編を目指す者、地域経済の底上げ、あるいは何かの目標に向かってコングロマリットを形成する者など、いずれも公共性が高いのが「スマートバイヤー」の特徴である。
このシリーズの第四弾は、東海・関西・中四国エリアから以下の企業を選んだ。(グループによるM&A等の実績を含む)
PMIでグローバルの菓子市場へ
ミクシオホールディングス
(本社の住所)
広島県広島市
(上場・非上場)
非上場
(業種)
菓子製造など
(主な買収先・進出先)
TAYSBAKERS(インドネシア)など
1943年創業の菓子製造会社が販路拡大を目的に2021年にM&Aを実施。以後、10社を束ねるグループ企業として年商100億円を目指している。経営陣の人選、売り上げ拡大に向けた投資シミュレーションなどPMIを重視して実践。商品力や収益力をもとにグローバルニッチ市場へ進出するという新ビジョンも掲げ、23年にはインドネシアの高級菓子製造会社とのM&Aを実現させた。国内だけが選択肢ではないことがわかるケースともいえる。
理念浸透関西を代表する巨大企業体
GLIONグループ
(本社の住所)
兵庫県神戸市
(上場・非上場)
非上場
(業種)
自動車関連
(主な買収先・進出先)
光洋自動車(奈良県大和郡山市)など
関西を代表するM&Aグループ。本業以外でもさまざまな事業を買収し、100社超の企業体を形成する。M&Aで新たにグループインする企業には丁寧な説明を繰り返し行い、グループ理念や行動指針を浸透させる。また、バスケットボールのアリーナのネーミングライツ(命名権)を取得するなど、地方創生にも貢献。M&Aが普及してきたなか、こうした買収に積極的な企業によるまちづくりへのかかわりも注目されている。



