批判と競合の台頭に直面するYコンビネータ
このふたりの離脱は、Yコンビネータにとってまた新たな大物の離脱といえる。同社で2016年から2024年にかけてCEOを務めたマイケル・セイベルは、2024年3月に公共分野のプロジェクトに注力するために退社していた。「マイケルの影響は非常に大きかった。彼は我々のプログラムやカルチャー、価値観を形成する上で欠かせない存在だった」と、Yコンビネータ現CEOのギャリー・タンはその当時に述べていた。
2005年に投資家のポール・グレアムによって設立されたYコンビネータは、これまでエアビーアンドビーやドロップボックス、ストライプ、コインベースといったユニコーンを送り出した。しかし、近年では、その規模の拡大に対する批判も強まっており、2024年のバッチには600社もの企業が参加していた。
一方で、同社は競合のアクセラレーターの台頭にも直面している。たとえば2017年にフェイスブックの初期投資家アリ・パルトヴィが設立した「Neo」や、2022年に名門VCのセコイアが始めたアクセラレーターの「Arc」などがその代表格に挙げられる。さらに、アーリーステージのVC「A*」の分析によると、現在の生成AIの基盤となるテクノロジー「トランスフォーマー」の登場以降に誕生したAIユニコーンの中に、Yコンビネータ発の企業は存在しないという。
「私自身がLLM」、1000社に及ぶ経験を次世代の創業者へ
そんな中、今回独立するふたりは、Yコンビネータで培った10年以上の経験を活かし、次世代の創業者たちを支援していくことになる。
「これまで1000社に及ぶスタートアップへの投資を手がけてきた私は、起業家が直面するあらゆる課題に助言することが可能だ。いわば私自身が、膨大なデータで訓練された大規模言語モデル(LLM)のようなものだ」とコールドウェルは昨年のフォーブスのインタビューで述べていた。


