北米

2025.06.17 12:00

世界の富豪が「これ無しで生きられない」と話すプライベートジェットの現実

Shutterstock.com

最も高価だった物もプライベートジェット

「これまで購入した物の中で、最も高価だった物は何か」という質問に、4人のビリオネアが「プライベートジェット」と回答した。チャサムによれば、中古プライベート機の価格は、年に5〜10%ずつ下がるのが一般的だが、新型コロナウイルスのパンデミック中に中古相場が高騰し、その後も高止まりしている。

advertisement

中古の小型機は基本モデルであれば100万ドル(約1億4500万円)程度から購入可能だが、ボンバルディアの「グローバル7500」などの最上位モデルの場合、7500万ドル(約109億円)に達することもある。このモデルは、長距離飛行が可能で、世界中をノンストップで移動できる。また、機内が4つのゾーンに分かれており、仕事や食事、睡眠、くつろぎの空間がそれぞれ確保されている。

格闘技団体UFCへの投資を成功させたカジノ業界のビリオネア兄弟のフランク・フェルティッタと弟のロレンツォは、2020年にグローバル7500を各自が1機ずつ購入したが、チャサムはそれぞれの現在の価格を5500万ドル(約80億円)と見積もっている。

Bombardier Global 7500 Global Jet(Airlinephoto / Shutterstock.com)
Bombardier Global 7500 Global Jet(Airlinephoto / Shutterstock.com)

莫大な費用を投じてジェット旅客機を購入したビリオネアも

一方、新品のビジネスジェットの価格が8000万ドル(約116億円)まで上昇する中で、本来は大手航空会社が使用するジェット旅客機を莫大な費用を投じて購入するビリオネアも存在する。ロシア新興財閥のロマン・アブラモビッチとアリシェル・ウスマノフがその代表例だ。アブラモビッチは2018年にボーイング787-8「ドリームライナー」(先日インドで墜落したものと同型機)を購入したが、フォーブス ロシアは、その費用を改造費を含めて3億5000万ドル(約504億円)以上と見積もっている。一方、ウスマノフは2012年にエアバスA340-300を購入しており、米財務省はその価格を3億5000万ドル(約508億円)から5億ドル(約725億円)と推定している。

advertisement

ただし、この両者の航空機は、ロシアのウクライナ侵攻以降、米政府の制裁で離陸禁止措置が取られている。

シンプルな機体を選ぶビリオネアは多い

とはいえ、超高級機に巨額を投じるビリオネアばかりではなく、よりシンプルな機体を選ぶ者は多い。「プライベートジェットを所有すると、偏見の目で見られることがある。また実際には、これら航空機の旅が贅沢なものではないことを多くの人は理解していない」とチャサムは話す。「富豪たちは小さな飛行機に大勢の人を詰め込み、2時間ほどで移動しているが、それは時間や会社の経費を節約するためでもある」。

プライバシー面の懸念が高まる

また、プライバシー面の懸念も高まっている。近年は「FlightAware」といったフライト追跡アプリが台頭し、誰でもネット上で航空機の移動ルートや到着時刻を確認できるようになったからだ。多くのビリオネアはプライベート機の所有者登録を複数のLLC名義にするなどの方法で隠している。

さらに、機体を完全に所有するのではなく、維持や保管、乗務員の確保といったコストを避けるため複数人で航空機の持ち分を共有する「フラクショナル・オーナーシップ」と呼ばれる仕組みもある。これは年間の利用時間に応じてコストを負担する仕組みだ。ほかにも、月額または年額でフリート(機体群)へのアクセスを得るサブスクリプションモデルも存在する。

アルバニアの富豪マネも最近、このサービスを利用し始めたばかりだ。彼は2021年にセスナ社のサイテーションXLS+の中古機を1080万ドル(約16億円)で購入していたが先日、1180万ドル(約17億円)で売却したという。しかし、マネはプライベートジェットの利用を完全にやめた訳ではない。「今はVista(ビスタ)やNetJets(ネットジェッツ)を利用している」と、彼はプライベート機のリース企業の名前を挙げた。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事