宇宙

2025.06.17 17:00

夏至の夜空に惑星たちが織りなすスペクタクル、頭上を横切るISSも見たい今週の星空

英イングランドにある先史時代の遺跡ストーンヘンジと星空(Shutterstock.com)

英イングランドにある先史時代の遺跡ストーンヘンジと星空(Shutterstock.com)

今週、北半球は夏至を迎える。天文学的には1年の折り返しにあたり、この日を境に夜は少しずつ長くなっていく。星空を観察できる時間の短さを嘆いていた北半球の天文ファンには朗報といっていい。とはいえ、薄明の空の眺めも捨てたものではない。夜明け前の東の空には「明けの明星」である金星がきらめき、夕闇の西の空では赤く光る火星と青白く輝くしし座の1等星レグルスがランデブーする。ぜひ堪能してほしい。

2025年6月第3週の夜空の見どころをまとめた。

6月17日(火):火星とレグルスが大接近

2025年6月17日(東京:午後8時ごろ)の西の空(Stellarium)
2025年6月17日(東京:午後8時ごろ)の西の空(Stellarium)

日が沈んだら西の空を見てみよう。赤い火星と、青白く氷のような光を放つ1等星レグルスが、1度未満の至近距離に並んで輝いている。明るさはほぼ等しく、色の対比がとても印象的だ。レグルスはしし座で最も明るい星で、太陽系とは約78光年離れている。最接近は17日だが、その後も数日間はこの2つの星の共演を楽しめる。

6月19日(木):月と土星が接近

2025年6月19日(東京:午前3時15分ごろ)の南東の空(Stellarium)
2025年6月19日(東京:午前3時15分ごろ)の南東の空(Stellarium)

真夜中頃、下弦の月が東から土星と並んで昇ってくる。見ごろは午前3時過ぎの南東の空だ。というのも、この時間帯になると日の出を約1時間後に控えた東の低空で、「明けの明星」金星がまばゆく輝き始めるからである。金星から右へと水平に目を動かしていくと、月と土星を挟んでちょうど反対側にあたる位置に明るい星が見える。これは、みなみのうお座の1等星フォーマルハウトだ。

6月21日(土):夏至

夏至に見るべき天文現象は、英国にある先史時代の遺跡ストーンヘンジの中心から昇る朝日ぐらいしかない。それでも天文ファンなら忘れてはならない節目の日であり、天文学的な意味をきちんと知っておきたい。日本時間午前11時42分、太陽が北回帰線の真上を通る。これが夏至の瞬間で、北半球における天文学上の夏の始まりである。この日を境に、夜の長さは徐々に延びていく。

英イングランド・ウィルトシャー州にある先史時代の遺跡ストーンヘンジで、夏至の日の出を見ようと集まった人々。2024年6月21日撮影(Finnbarr Webster/Getty Images)
英イングランド・ウィルトシャー州にある先史時代の遺跡ストーンヘンジで、夏至の日の出を見ようと集まった人々。2024年6月21日撮影(Finnbarr Webster/Getty Images)

6月22日(土):水星がふたご座できらめく

水星を見たことがなければ、日没から30分ほど後に西北西の低空を眺めてみよう。視界の開けた場所なら、ふたご座の兄弟星カストルとポルックスのすぐ左下に水星のきらめきを見つけられるかもしれない。双眼鏡があれば活用しよう。

6月22日(日)~23日(月):金星と月とすばるが共演

2025年6月23日(東京:午前3時半ごろ)の東の空(Stellarium)
2025年6月23日(東京:午前3時半ごろ)の東の空(Stellarium)

早起きさえできれば、実に美しい光景を目撃できる。日の出の約1時間前、東の低空で細い下弦の月と金星、おうし座のプレアデス星団(すばる)が2晩続けて共演する。特に23日未明は、明るい金星とすばるの間に繊細な月が挟まれて、肉眼で見える最も美しい3つの天体が並んで輝くので見ごたえ満点だ。月の影の部分が地球上の海や氷冠に反射した太陽光に照らされてうっすら光って見える「地球照」も見逃せない。

今週の天体:ISSと人工衛星

今週、未明に国際宇宙ステーション(ISS)が住んでいる地域の上空を通過すれば、その光跡を目視することが可能だ。ISSが地上から見える予測日時は、米航空宇宙局(NASA)のアプリ「Spot the Station」をはじめ、さまざまなウェブサイトで確認できる。(編集部注:日本語サービスでは、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の支援でISSに開設された「KIBO宇宙放送局」が提供するISS可視情報予測サービス「#きぼうを見よう」が便利)

米バージニア州エルクトン上空の横切る国際宇宙ステーション(ISS)。2015年8月1日撮影、30秒露光(NASA/Bill Ingalls)
米バージニア州エルクトン上空の横切る国際宇宙ステーション(ISS)。2015年8月1日撮影、30秒露光(NASA/Bill Ingalls)

夏至の前後は、北半球では太陽が沈んでも地平線のすぐ下にある時間が長く、人工衛星を夜空に見つけやすい時期となる。地上が暗くなった後も衛星には太陽光が当たり続けるため、明るく輝いて見えるというわけだ。

forbes.com原文

翻訳・編集=荻原藤緒

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