YouTube動画の冒頭5秒でスキップボタンを押し、SNSの広告投稿を素早くスクロールで飛ばす——こうした光景は、もはや現代の日常といえる。
株式会社レイクルーが2025年5月27日から5月29日にかけて20代~50代の男女331名を対象に実施した「消費者の広告に対する購買行動」調査によると、直近3カ月間に広告を見て商品・サービスを購入した人は全体のわずか26.0%。4人に3人は広告を見ても購入に至っていない現実が明らかになった。
YouTubeとWeb広告が圧倒的な存在感
普段目にする広告媒体について複数回答で尋ねたところ、「YouTube等の動画広告」が61.3%で最多となった。次いで「Web広告(バナー、リスティング広告等)」が56.2%、「SNS広告(Instagram、Xなどのタイムライン上の広告)」が52.9%と続き、デジタル広告が上位を独占した。
一方、従来型の「マス広告(テレビ、新聞、ラジオ、雑誌等)」も52.9%と健闘しており、未だデジタルとアナログが拮抗する状況が見て取れる。

スキップ・スルーが主流の対処法
広告を見た時の対応についての結果を見ると、消費者の冷静な反応が浮かび上がった。普段、広告を目にしたとき、「ほとんどスキップやスルーをしている」と答えた人が41.7%で最多。次いで「一部だけ見て途中でスキップ・離脱することが多い」が28.4%、「目に入っても意識して見ていない」が22.7%となった。
つまり、約9割の消費者が広告に対して積極的に回避行動を取るか、関心を示していないことになる。わずか7.2%の人だけが「興味を持ってじっくり見ることが多い」と回答した。

広告を出稿する企業や店舗にとっては厳しい現実だが、消費者は日々大量の広告情報にさらされる中で、自然と「情報の取捨選択」を行っていることがうかがえる。
「内容次第」が購買の分岐点
では、広告を見て実際に購入する人はどのような心理状態なのだろうか。広告を見た時に最も近い感情を尋ねた質問では、「内容によっては参考になる」が38.7%で最多となった。
興味深いのは、「少し誇張されているように感じる」(18.4%)と「うさんくさいと感じる」(17.5%)を合わせると、4割近くの消費者が広告に対して何らかの不信感を抱いている点だ。過度な演出や誇大表現への警戒心が、現代消費者に根付いていることを示している。




