英ロンドンに本部を置く金(ゴールド)の業界団体ワールドゴールドカウンシル(WGC)は、回答者の約95%が、各国の中央銀行の金準備が向こう1年間で増加すると予想しているとの調査結果を報告した。WGCによると、このように答えた回答者の割合は、2022年に61%、23年に71%、24年は81%と近年着実に高まっている。
この調査では、72人の回答者のうち43%が、同期間に自国の中央銀行の金保有量も増加するとみていた。この割合は昨年の29%から上昇し、過去最高を記録した。一方、金保有量が減少すると予想した回答者はいなかった。
金準備を増やすと予想される中央銀行は、新興国や発展途上国に集中していた。これらの地域の中央銀行の約48%(58カ国中28カ国)が、今後1年間に金の保有量を増やすと予想していた。先進国では21%(14カ国中3カ国)だった。
中央銀行の金資産の割合は「やや増加」との見方が多数
回答者の大多数(72%)は、中央銀行の総準備資産のうち、金建てで保有される割合が向こう5年間で「やや増加する」とみていた。この割合は、22年には46%、23年には59%、24年は66%だった。この割合が「大幅に増加する」と考える回答者の数もこの期間に増加し、現在は4%となっている。
金準備を積極的に運用
今回の調査では、金準備を積極的に運用している回答者が増加していることも明らかになった。この割合は、24年は37%だったのに対し、今年は44%に上った。
WGCは、利益の向上が第1の理由であることに変わりはないが、戦術的取引を抜いてリスク管理が第2の理由となったと説明した。回答者の約85%は、利益率を高めるために保有する金を積極的に運用しており、22%はリスク管理のために金を保有していると回答した。戦術的取引は15%を占めた。
金を保有する最も重要な理由については、85%が危機の際の準備だと答えた。金の役割について、ポートフォリオの分散と答えた割合は81%、長期的な価値の保存とした割合は80%と、わずかに後退した。
金価格は年初から29%上昇
本調査は2月25日~5月20日にかけて実施された。この期間に安全資産である金の価格は1トロイオンス当たり3500ドル(約50万8000円)を超え、過去最高値を更新した。それ以降、金価格は3396.60ドル(約49万3000円)まで下落しているものの、依然として年初から29%上昇している。関税の引き上げによる影響に対する懸念や地政学情勢の悪化のほか、米ドル安が金価格の上昇に拍車をかけている。
WGCの直近のデータでは、各国の中央銀行による4月の金購入量は12トンで、前月から12%減少した。同団体は、中央銀行は本質的に戦略的な傾向があるため、金価格が複数回にわたって過去最高値を更新しても金購入を控える可能性は低いが、月間の購入ペースの減速についてはある程度説明できると述べた。



