在宅勤務を強いられたコロナ禍が収まり、職場に少なくとも週に何度かは戻って来る人が増えるにつれて、一部の企業ではITシステムの刷新を検討している。その際、まだそれほど使い古されているわけではないパソコンを丸ごと入れ替えるのではなく、新しいマウスやキーボード、ディスプレイなどの周辺機器に投資することで、システムのリニューアルを図ろうとする会社も多い。
コンピューターの各種周辺機器を手がけるLogitech(日本法人の社名は「ロジクール」)は、企業向けキーボード&マウス「Signature Slim Wired Combo」シリーズの「MK620」と「MK625」を発表した。これらの製品は、業務環境を共有する中で、安定性と物理的なセキュリティを重視して有線接続の周辺機器を使用することが望ましいと考える企業や業界向けに設計されたキーボードとマウスの新製品だ。
異なるOSにも簡単に対応
これらのキーボードとマウスのセットはWindows、macOS、ChromeOSのように異なるOSを使用する機器の間でも簡単に接続を切り替えることができ、オフィスの共有スペースにあるデスクトップPCを使って仕事をする人や、持ち込んだノートPCにつなぐ外部ディスプレイや外付けのマウスとキーボードを必要とする人にとって、最適な設備となる。
現代のようにワイヤレス(無線接続)の周辺機器が主流となっている時代において、有線マウス&キーボードの新製品を発売することは少しばかり常識に反するように見えるかもしれないが、Logitech(ロジクール)の判断には十分な論理的根拠がある。実際、多くの職場ではワイヤレス機器の使用を避けざるを得ない理由があり、コードを取り除くことを望んでいない。
例えば、金融取引の仕事場では機器の物理的な安全性が不可欠であり、キーボードには瞬時の反応速度が求められる。医療現場で無線接続のキーボードやマウスが電池切れになると検査結果の入力に支障をきたし、特に緊急時には重大な問題となる恐れがある。また、学校や大学、シェアオフィスでは、有線接続のキーボードのほうがはるかに盗難されにくいという傾向がある。



