昨年のある春の朝、米ニューメキシコ州に住むライターのザック・ハイブリーは不意に目覚めた。最近飼い始めたリジクという名の「何の純血種か分からない」犬が、夜中にひどくかゆがり、引っかきすぎて顔を傷つけたのだ。
ハイブリーは回想する。「リジクはかきむしっていた。顔の一部を引っかいて傷を負ってしまった。出血して皮膚も傷ついていた。口の周りが少し荒れているように見えたが、本当にひどかったのは目の周りだ。耳の中までかきむしっていた。それはもう、ひどいものだった」
ハイブリーが愛犬を獣医に連れて行くと、「この時期だからアレルギーだろう」と診断された。獣医師は、外出後は犬の顔を拭き、処方薬のアポキルか市販薬のベナドリルを与えることを勧めた。ハイブリー自身がアレルギーのためにベナドリルを服用していたため、後者を選んだ。
実際、ハイブリーはリジクのアレルギーが自分のアレルギーと一致していることに気づき、それによって病気の管理が容易になったという。「私は明らかに花粉症で、リジクとまったく同じ日に症状が出る。私の症状が治まると、リジクも治まる」
獣医師がリジクに提案したベナドリルの投与は功を奏し、ハイブリーは眠気などの副作用も見られなかったと語っている。「今年は予防策を強化した。自分のアレルギーが始まってくしゃみをして目が覚めた日に、リジクにベナドリルを飲ませ始めた。リジクは初日にほんの少し体を引っかいたが、去年ほどではなかった」
犬の季節性アレルギーに関する獣医師の見解
米コロラド州デンバーで大型動物保護施設を運営する非営利団体ヒューメーン・コロラドのクリスティナ・ラベリー獣医師は、季節性アレルギーが猫に影響することもあるが、犬のアレルギーの方が一般的だと説明する。「犬のアレルギーは人間と非常によく似ている。犬も人間も、春と夏に環境アレルギーを経験しやすいからだ。ところが、他の動物たちは一年中、どの時期でも環境アレルギーを発症することがある。それは個体によってかなり異なる」
犬の季節性アレルギーの症状は、軽症から重症までさまざまだ。ラベリー獣医師によると、軽度の季節性アレルギーでは、鼻水が出たり、目がゴロゴロしたり、目の周辺や結膜(眼球の周りにある境界の組織)がわずかに赤くなったりすることがある。
重度の季節性アレルギーを持つ犬の症状:
・ 部分的な脱毛
・ 熱を持つなどの皮膚の炎症
・ 丘疹(きゅうしん)と呼ばれる皮膚の発疹に沿って盛り上がった赤い腫れ
・ 脇の下または下腹部(脚の付け根)の発疹
・ 耳の感染症
ラベリー獣医師は次のように続けた。「私がよく目にするもうひとつの症状は苔癬(たいせん)化だ。これは皮膚が荒れて厚くなったように見える状態だ。数カ月から数年にわたってアレルギー症状が慢性化していると、皮膚が非常に厚くなり、革のような外観になることがある。そんな状態を見ると、その犬が非常に長い間その病気と向き合ってきたこと、そして恐らく長期にわたってその病気が最善の状態で管理されていなかったことが分かる」



