今日ロシア産天然ガスを購入すれば、明日にはさらなる戦争が
ロシアが2022年初頭にウクライナ侵攻を開始して以降、EUはロシアの天然資源輸出に対する制裁で一致団結しているとは言い難い。実際、一連の制裁にもかかわらず、ロシアの天然資源輸出は予想以上に底堅いことが証明された。トルコストリームを通じた戦略的な経路変更と、直ちに軸足を移したくない、あるいは移せない国々からの継続的な需要があるからだ。
EUは2027年までにロシア産天然ガスの輸入をすべて停止するという目標を掲げているが、強制力の欠如や再依存の動きにより、目標達成にはほど遠い状況だ。この計画は、ロシアへのエネルギー依存をなくすための行程を示すものだが、それを支えるのは、太陽光や風力のように変動の激しい電源ではなく、安定的なベースロード電源(訳注:低費用で安定的に供給できる電源)でなければならない。この計画にはロシア産ウランを含む原子力関連の輸入を削減する措置も盛り込まれているが、EU全体でも各加盟国でも、原子力サプライチェーン(供給網)の再構築と国内の原子力発電の推進に重点を置く必要がある。
ロシアの経済回復は、西側諸国による継続的な圧力と、クレムリンを交渉のテーブルに着かせるための統一戦線の必要性を示している。ロシアの経済的利益を許せばウクライナの弱体化を招き、欧州の他の地域に向けてロシアの野心が高まる危険性がある。
選択肢は明らかだ。西側諸国がロシアの懐を痛めつけ停戦と和平を迫るか、あるいはロシア政府に資金を投入し続け、このまま紛争を継続するかのいずれかだ。世界経済を不安定化させ、物価高騰を再燃させないよう注意する必要があるが、流血を食い止めるための協力の窓は今、開かれている。ロシアがウクライナをはじめとする地域を侵攻し続ければ、米国を含む世界経済は間違いなく打撃を受けるだろう。


