その一方で…、ロシア経済はなぜ改善しているのか?
2025年に入ってロシア経済が好転している理由は、主に天然資源の輸出が急増しているためだ。トランプ政権が追加制裁の可能性をちらつかせながらも、実際に科すことをちゅうちょしていることで、ロシアの天然資源輸出が急増する余地を生み出した。制裁が強化されるどころか、解除されるかもしれないといううわさが流れたことで、ロシア産天然資源に頼ろうとする国が増えたのだ。
ロシアの外貨準備高は、一時は逼迫(ひっぱく)していたが、ロシア中央銀行による通貨ルーブルの暴落を阻止するための努力が実り、ウクライナ侵攻開始前の最高額である6300億ドル(約90兆8000億円)を上回り、現在は6800億ドル(約98兆円)に達している。ルーブルは力強い回復を見せ、年初以降、最も上昇率の高い通貨となっている。ルーブルはロシア政府の予測をも上回り、ドルに対して40%上昇した。この数字はルーブルの次に上昇率の高い通貨のほぼ4倍に当たる。これは、国内経済統制の強化や原油価格の上昇、輸出の継続によるものと考えられるが、ロシアにとって最も信頼できる貿易相手国である中国との交易と間接的な金融の流れも要因の1つだろう。
ロシア産天然ガスの輸入を拡大した欧州
EUでは全加盟国がロシア産の天然資源を輸入しているわけではないが、同国からの輸入依存率の高い国の中には複数の主要国が名を連ねている。2024年11月時点でロシア産天然資源の輸入が特に多かったEU諸国は、ハンガリー、スロバキア、フランス、オーストリア、スペインだった。
つまり、ロシア産天然資源を輸入し続けているのは、ロシア寄りの政権が率いるハンガリーやスロバキアだけではないということだ。EU諸国はウクライナ侵攻を非難しながらも、代替エネルギー源を見出すことができず、ロシア産の石油や天然ガスを輸入し続け、同国に経済的な命綱を与えているのだ。現時点では、ロシア産の石油と天然ガスは制裁にもかかわらず安価に入手しやすいため、冬季の異常な低温や風力発電量の不足など、欧州でたびたび発生するエネルギー安全保障上の問題を解決する主要な手段となっている。
一方、トランプ大統領は天然資源を貿易交渉の切り札として使うことで欧州諸国を揺るがし、米国への依存も安全とは言い切れないことを知らしめた。このようなトランプ大統領の姿勢が、EU諸国を資源供給国としてのロシアに引き戻すことになった。EU諸国が一致団結してロシアからの輸入を停止するかどうかは依然として分からない。
先日のポーランドの大統領選挙で右派のカロル・ナブロツキ候補が僅差で勝利したことが示すように、欧州の対ロシア姿勢は分断を深めるばかりで、EUにさらなる難題を突き付けている。ナブロツキ大統領はウクライナへの軍事支援は支持している一方で、同国の北大西洋条約機構(NATO)への加盟に関しては、NATOの既存加盟国がロシアとの紛争に巻き込まれる恐れがあるとして反対している。同大統領の「ユーロ懐疑的」な姿勢も、ハンガリーのオルバン・ビクトル首相やスロバキアのロベルト・フィツォ首相など、EU内のロシア寄りの指導者らとの連携につながるかもしれない。


