いかに新潟を支え、貢献するのか―。それが、NSGに深く根ざす意識だ。では、2本目の柱である医療福祉はどうか。地方では、少子高齢化に伴う経営難で閉鎖する医療機関が増えた。NSGは指定管理を含め5つの病院を運営する。医療機関とのM&Aも地域を支えるためなのか。
「もちろんそれもあります。コングロマリットの強みが、ポートフォリオを踏まえて事業展開できること。整形外科か、リハビリか。病院の特性や地域性を洗い直すと、多様な事業をもつからこそ、医療福祉事業として発展できると考えました」
NSGの医療福祉事業の発展を後押しするのが、スポーツ事業だ。グループはJリーグのアルビレックス新潟のほか、同じ名を冠したバスケットや、野球、陸上などのチームのスポンサーである。
トップを目指すうえで、スポーツ医学やリハビリテーションの専門家は欠かせない。彼らの専門知識や経験をグループ内の医療や、教育の現場と共有する。最先端の知見に触れた卒業生が、地域の病院や、福祉施設に就職する。効果は、雇用創出や、医療福祉施設の維持に止まらない。
スポーツ選手が治療やリハビリのために新潟を訪れたり、アスリートが充実した環境を求めて他県から新潟に拠点を置いたりする好循環をもたらした。
教育とスポーツを通じた地域活性の象徴が、JAPANサッカーカレッジだ。毎年全国から約200人が入学する。彼らは、廃校となった校舎を再利用して、選手としてだけではなく、トレーナーやフロントスタッフとしてサッカー界で活躍すべく学ぶ。JAPANサッカーカレッジが新潟県に及ぼす経済効果は16億円に上るという。
まさに池田が指摘した“地域を維持し、活性化させるための経済活動”である。
NSGの教育機関に在籍する学生・生徒は約2万人。建設・不動産事業により、彼らに住環境を提供する。「コングロマリットの経営には時代の波をとらえる力やバランスが必要になる。一方で、大切なのがこだわりです」
池田は教育を例にとる。コロナをきっかけにオンラインの授業が普及した。「対面とオンライン。どっちがいいという話ではありません。将来、オンラインが主流になるとしても、需要があるのなら、対面の授業がどのようなかたちなら事業として持続可能なのか考え続ける必要がある。こだわり抜いた結果、対面とオンラインを融合させた新たな教育のかたちを見いだせるかもしれませんから」
教育を柱とし、新潟に根ざしたコングロマリットのこだわりが、地域創生の新たなモデルを示すのかもしれない。
甲信越エリアから選出した企業は他に次の通り。
M&Aで100億円企業に 地域から商圏拡大
シマキュウ
(本社住所)
新潟県長岡市
(上場・非上場)
非上場
(業種)
産業用高圧ガス製造など
(主な買収先・進出先)
トウヨーネジ(埼玉県伊奈町)など
機械工具や溶材を扱う個人商店からM&Aを軸に売り上げ100億円以上の工業用資材商社に変貌した。 2000年以降、10社以上を買収してきたが、当初は後継者不在などの同業を救済する側面が強かった。ここから販売先の拡大が期待できるM&Aに方針を転換。人口減少や市場縮小を懸念して新潟から埼玉にも進出。鋼材やボイラーなどの販売会社をグループ入りさせて拡大した。19年にホールディングス化(シマキュウホールディングス)。


