米オラクルの共同創業者で会長のラリー・エリソンは、米東部時間6月12日、クラウドコンピューティング大手の同社の株価が、決算発表後に過去最高値を記録したことを受けて、世界で2番目に裕福な人物の座を奪還した。
エリソンの保有資産は、12日朝から昼までの間に約260億ドル(約3兆7200億円)増加して2430億ドル(約34兆8000億円)に達した。フォーブスのデータによると、この日の彼の資産の増加幅は、世界のすべてのビリオネアを上回った。
これを受けてエリソンはアマゾン会長のジェフ・ベゾス(保有資産2270億ドル/約32兆5000億円)とメタのCEOのマーク・ザッカーバーグ(同2390億ドル/約34兆2000億円)を抜いて、フォーブスのリアルタイム・ビリオネアランキングで2位に浮上した。現時点でエリソンよりも裕福な人物は、彼の長年の友人で保有資産が4110億ドル(約58兆8000億円)のイーロン・マスクのみとなっている。
オラクルの株価は、11日の市場の引け後の決算発表を受けて12日に14%以上上昇し、過去最高値の200ドル超を記録した。同社の3〜5月(2025年第4四半期)の売上高は前年同期比11%増の159億ドル(約2兆2800億円)、調整後1株利益は1.70ドルと、いずれもウォール街の予想を上回った。
ドイツ銀行のアナリストであるブラッド・ゼルニックは、この決算がオラクルの重要な転換点を示すものだと評価し、「ラリー・エリソンがクラウドコンピューティングの新時代の到来を語るとき、すべての人は注意深く耳を傾けるべきだ」と顧客向けメモに記した。これは、オラクルが生成AIやエージェントAIの発展に重要な役割を果たしていることを示唆している。
TDコーエンのアナリストのデリック・ウッドは、6月から始まったオラクルの新たな会計年度(2026年度)が、「AIの学習需要の爆発的な増加を受けて、同社の中核的なクラウドインフラサービスにとっての大きな転換点となる」と予測している。
エンタープライズ向けソフトウェアの巨人で、収益の大半をクラウドコンピューティングやデータストレージの提供から上げているオラクルは、近年は特にTikTokの米国ユーザーデータのホスティングで知られている。1977年にオラクルを共同創業したエリソンは現在、同社の株式の約41%を保有している。
AIインフラ「スターゲート」でも注目
現在80歳のエリソンは、2018年から2022年までテスラの取締役を務め、2022年の中間選挙では共和党候補の支援に少なくとも2000万ドル(約28億6000万円)を投じ、ハワイの島を3億ドル(約429億円)で購入したと報じられた。彼はまた、中国出身の6番目の妻とされる33歳の女性、ケレ・ジューの母校であるミシガン大学のフットボールチームに、全米トップの選手を呼び寄せるために、記録的な金額を拠出したとウォール・ストリート・ジャーナルが報じていた。
エリソンはまた、今年1月にトランプ米大統領が米国に巨大AIインフラを構築するための「スターゲート」計画を発表した際に、大統領と並んで発表を行ったことでも注目を集めていた。最大5000億ドル(約71兆6000億円)規模の投資を行うとされるこのプロジェクトには、オラクルとソフトバンク、OpenAIらが参加する。



