イスラエルとイランが戦火を交える可能性が高まる中、ドナルド・トランプ米大統領は中東に駐留する米大使館職員らの退避が始まったとの報道を認めた。退避の対象となる大使館は12日までに4カ所に増えたとみられる。
匿名の複数の米政府関係者がロイター通信に語ったところによると、ピート・ヘグセス国防長官は、イラク、バーレーン、クウェートなど中東全域を対象に、駐留する兵士の家族の自主退避を許可した。中東の衛星テレビ、アルジャジーラはアラブ首長国連邦(UAE)も対象だと報じている。
米首都ワシントンにある国立文化施設ケネディ・センターで11日に公演初日を迎えたミュージカル『レ・ミゼラブル』を観覧したトランプは「(中東が)危険な場所になる可能性がある」ため、職員らを「移動させる」と記者団に述べた。米国はイランの核保有を「許すつもりはない」とも語った。
欧米の当局者によると、イスラエルはイランへの攻撃を準備している。また、イランは数百発の弾道ミサイルによる即時の反撃を計画していると報じられている。
フォーブスは米国務省にコメントを求めている。
米紙ニューヨーク・タイムズによると、イランの核開発計画はこの10年で進んでいる。現在もパレスチナ自治区ガザ地区を攻撃しているイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は、レバノンの親イラン民兵組織ヒズボラとイスラム組織ハマスの指導者を殺害した後、イランの脆弱性は「長くは続かないだろう」と述べている。ロイター通信によると、トランプはネタニヤフに中東での大規模な紛争を避けるためにイランを攻撃しないよう警告している。また米国はイランからウラン濃縮を停止することで同意を得ようとしている。
イランのアジズ・ナシルザデ国防軍需相は11日の定例会見で、米国との核交渉が頓挫し、「紛争が生じた場合」、イランは中東地域の米軍基地を攻撃すると述べた。トランプは核合意に達しない場合、イランを爆撃すると脅している。交渉は間もなく再開される見通しだが、トランプは12日に行われると述べる一方で、イラン側は15日としている。
トランプは10日、イランは核協議で「一層攻撃的に」なっていると語った。イランのアッバス・アラグチ外相は「イランの核計画を平和的なものに保つことができる合意は手の届くところにある」とX(旧ツイッター)に投稿し、今後どうなるかはイランが国際原子力機関(IAEA)の下でウラン濃縮プログラムを維持できるかどうかに「かかっている」と指摘した。IAEAはイランが「核不拡散義務」を遵守していないと判断している。
米国務省がイラクの首都バグダッドに置く大使館から緊急の業務がない職員の退去を命じた後、原油価格は急騰した。イラクの原油輸出量は日量平均約400万バレルで、紛争が激化すればイラク経済の安定に影響を及ぼす可能性がある。



