原子力業界には依然逆風も
とはいえ、ウラン産業は近年、何度も失敗を経験していることを念頭に置く必要がある。政策発表や投資家の楽観的な見通しは時折、短期的な株価上昇を誘発したが、それが現実世界の需要に結び付かず、勢いは消え失せてしまった。
新たな原子力発電所を建設するための費用と手続きの煩雑さも、依然として大きな逆風となっている。規制当局の支援があっても資本コストは高く、建設期間は長い。原子力発電に対する国民の意識は幾分和らいだが、一部の環境保護団体は依然として根強く反対している。
公益事業者は契約に署名しなければならない。議員は超党派の支持を維持しなければならない。そして開発業者は先進的な原子炉を、設計図から現実のものに作り上げなければならない。
注目すべき指標
同分野に関心のある投資家のために、米政権による原子力推進への方針転換が持続力を持つかどうかを示す指標がいくつかある。
・ 長期公益事業契約 より多くの米国の公益事業会社が国内の鉱山会社と複数年契約を結べば、実際の需要が回復していることを示唆している。
・ 政府の資金支出 新たな政策からの支援がいかに迅速かつ効率的に配分され、どのプロジェクトが支援の対象となるかを観察する。
・ 先進的原子炉の開発 小型モジュール炉(SMR)の開発に取り組んでいる企業は、次の導入の波に乗る可能性がある。
・ 世界的な動き 原子力の復活は米国だけにとどまらない。フランス、日本、インドなどの国々も気候変動対策という観点から原子力政策を見直している。これにより、世界的にウラン需要が増加する可能性がある。
結び
これを「ウランルネッサンス」と呼ぶのは時期尚早だが、要素はそろいつつある。政策の整合性、国家安全保障上の懸念、そして炭素排出の少ないベースロード電源の必要性が、原子力の復活とウランの重要性のより明確な根拠を形成しつつある。
不安定さに対する寛容性と長期的な展望を持つ投資家にとって、ウランは再び機会をもたらすかもしれない。多くの商品投資と同様、タイミングがすべてだ。だが、もし原子力が本当に米国の電源の中でかつての地位を取り戻すのであれば、これはもっと大きな物語の始まりに過ぎないのかもしれない。


