キャリア

2025.06.16 09:00

キャリアパスはもう古い? 出世を望まない時代の「人材育成論」

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分業化は敏捷性のための青写真

仕事を細分化する必要がある。歴史的に、私たちは複数のタスクを仕事としてパッケージ化し、その仕事を職業と結びつけてきた。今こそ、仕事をバラバラに分解し、堅苦しい職務記述書から脱却し、よりダイナミックなシステムへと向かうべき時だ。そうすれば、従業員は時間の一部を深い専門知識の応用に費やし、別の時間を挑戦的なプロジェクトや部門にまたがるコラボレーション、短期的な業務などまったく新しい取り組みに費やすことができる。

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目標は、ある職務を別の職務に置き換えることではない。双方向で探求できるようにすることで、従業員は次の仕事を試し、組織はそうした試みがなければ見落としていたかもしれない能力を発見する。このような仕組みを機能させるには、可視性が重要だ。従業員は、自分の現在の職務以外にどのような機会があるかを知る必要があり、官僚主義的な摩擦なしにそれを実行できなければならない。これらは大きな動きである必要はない。実際、このモデルの強みは挑戦できるよう障壁を低くしていることだ。

まず、数日から数カ月までの短期的な人員配置が可能な社内プロジェクトを特定することから始める。そして、従業員が自分の時間の一部をこれらのプロジェクトに振り向けられるようにする。ビジネスの観点から、組織は通常の計画や体制には当てはまらないものの、遂行する必要のある仕事を人材とマッチングさせることができる。従業員にとっては、現在の職務を離れることなく、自分が情熱を注いでいることに貢献できる。また、組織の可能性について視野を広げて新しい分野を開拓し、能力を高められる。管理職は従業員の気づいていなかった才能を発見できる。そして、組織は従業員の動きが破壊的ではない文化を築く。それは設計だ。

コントロールより透明性重視の設計を

このようなシステムを拡張するためには、それを妨げている構造を厳しく見直す必要がある。多くの場合、マネジャーは成長を可能にするのではなく、コントロールを維持することを評価されている。部下は「所有物」であり、一時的にせよ人材を手放すことは、損失だと感じる。一方で、私たちは学習が大事だと言いながら、短期的な成果を出すことだけに報奨を与えている。従業員の潜在能力を引き出したいのであれば、何を評価し、何に報奨を与え、そして何に価値を置くかを再設計する必要がある。

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これは単なる人材戦略ではない。組織の戦略だ。かつてキャリアがはしごのように続いていた時代には、企業は安定した戦略を築くことができた。しかし、キャリアが岩壁のようになっている世界では、敏捷性は従業員の柔軟な動きから生まれる。レジリエンスは、選択肢を持つことから生まれる。そして成長は、飛躍する準備が整う前に従業員に冒険させることにかかっている。

キャリアエージェンシーの時代に突入している。キャリアのはしごを作り直そうとする組織は、すでに新しい方向に進んでいる従業員を失うだろう。柔軟性と流動性を受け入れる組織は変化にただついていくだけではなく、従業員がそこで成長したいと思うような職場を築く。

forbes.com 原文

翻訳=溝口慈子

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