キャリア

2025.06.16 09:00

キャリアパスはもう古い? 出世を望まない時代の「人材育成論」

Shutterstock.com

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かつて、組織における昇進などの道筋、キャリアパスが予測可能だった時代があった。職業を学び、組織に入り、上司やそのまた上司の肩書き、そしてその先に待っているコースに自分の将来を見たものだ。昇進や研修も、お馴染みのテンポで続いた。そのままいけば、定年まで順調に役職を重ねていくーー。

そのようなキャリア開発戦略は、もはや現代にはそぐわない。

キャリアパスからキャリアエージェンシーへ

今日のキャリアは、はしごというよりロッククライミングの壁のようだ。はしごの場合、上に行く道は1つだ。だが岩壁では横に進んだり、斜め方向に登ったり、一時的に下るなどルートは無限だ。それぞれの動きは、学んだことや次にやりたいこと、またはその時々の人生の都合に基づいて意図的に行われる。

キャリアを管理する人々は、このことを知っている。だが組織の適応は遅く、問題を生んでいる。というのも、人々が従来の出世のはしごを上らなくなると、そのはしごを中心に構築された組織の構造やシステムが、実際の仕事の進め方とずれてしまうからだ。組織が時代遅れのキャリアアップを前提として運営を続ければ、人材を失い、イノベーションが停滞し、急速に変化するビジネスニーズへの対応に苦慮する可能性がある。

今日の労働力は、自己管理型だ。プロジェクトを終えた後や経営陣の交代に直面した後、あるいは単に何か違うことに取り組む準備ができたと気づいた後など、あらゆる分岐点で従業員は選択している。人々は立ち止まり、こう問いかける。ここが私の望む場所なのだろうか。私はここでさらに何を求めているのか。何がもうそぐわないのか。

米世論調査会社ギャラップの報告書「世界の職場の現状」2025年版によると、仕事に打ち込んでいる従業員はわずか5人に1人だ。仕事への思い入れがますます減っているこうした現状を併せると、直線的なキャリアを支援するシステムが、もはや従業員のモチベーションを維持できていないことは明らかだ。従業員は常に昇進や新しい仕事を求めているわけではない。

能力的な成長や変化、スキルを求めていることもある。あるいは、仕事以外の時間を増やしたいのかもしれない。また、新しい役職を探すのではなく、個人的または職業的な成長を求めており、多くの場合、キャリアにおいて次のステップとしては当然と考えられていなかった方向へと舵を切る。キャリアのロッククライミングの壁で、人々はあらゆる方向を見て次に足をどこに置くかを選んでいる。

組織ははしごを作り直すのではなく、人々と仕事の関係を見直してこの状況に対応できるように進化しなければならない。

社内異動を新しいシステムに

刷新は社内異動の方法を再考することから始まる。これは従業員のためだけでなく、ビジネスのためでもある。予測不可能な世界において組織の敏捷性は、従業員と仕事をこれまで以上に流動的にマッチングさせる能力にかかっている。各従業員が必要とされる場所で、準備が整ったときに、経験や希望に沿った方法で貢献できるようにしなければならない。

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翻訳=溝口慈子

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