開催中の大阪・関西万博で、来場者の人気を集めるフランスパビリオン。5月、同パビリオンに、フランスのメディアで2027年の大統領選出馬の可能性が取りざたされる人物の姿があった。パリを中心とするイル・ド・フランス地域圏の議会で議長を務めるヴァレリー・ぺクレス氏である。
同パビリオンの会場で行われたスタートアップ企業関連イベントへ出席するのが来訪の目的だ。フランスはいまや、「スタートアップ大国」として世界でも一定の存在感を示す。その原動力になったのが「フレンチテック」で、フランス政府が後押しする2013年始動のスタートアップ育成・支援のプロジェクトだ。
日本もお手本にするスタートアップ政策
フランスといえば、ブランド品やグルメなどを思い浮かべる人も少なくないが、「フレンチテック」はそのようなイメージの刷新を図るのが狙いだ。プロジェクトは民間が主導し、政府は旗振り役に徹しているのが特徴だ。同国のスタートアップ企業は、現在、サービス業中心に約2万5000社。評価額10億ドル以上のユニコーンは35社に達する。日本もこのプロジェクトをスタートアップ政策のお手本にしている。
べクレス氏は「数学、物理学、医学、航空宇宙関連の4つの領域でフランスは欧州ナンバーワンの国だが、商売下手で売り込むのに苦労している」と話す。米国ラスベガスで開催される世界最大規模のテクノロジー見本市「CES」にも出展するなど、「フレンチテック」ブランドの浸透にも取り組んでいるが、「海外(のメディアなど)のほうがむしろ、上手にPRしてくれる」という。
イル・ド・フランス地域圏にはスタートアップ企業の資金調達の8割、研究開発投資の4割が集中している。今回の来日は「フランスのイノベーションの先進地域」のトップによる「フレンチテック」のセールスという側面がありそうだ。
フランスパリビオンでのイベントに参加した「バックマーケット」は、Web上で電子機器や家電のリファービッシュ品のマーケットプレイスを運営する会社。リファービッシュ品とは中古品と異なり、修理や品質のチェックなどの点検を経て出荷される製品のことだ。
同社が手掛けるのはリファービッシュ品の販売業者と購入希望者をつなぐ「BtoC」のビジネス。2014年にパリで設立され、現在はフランスだけでなく、日本、米国、英国、豪州など17カ国でサービスを展開する。広報担当者によれば、フランスで使用されている携帯電話の3分の1がリファービッシュ品あるいは中古品だという。
環境対策に傾注するフランス。2022年には売れ残った新品の衣類を焼却や埋め立てによって廃棄することを禁止する規制が施行された。リファービッシュ品の普及は環境問題に対する国民の関心の高さを映す。



