カルチャー

2025.06.20 14:15

スターの誕生日に3740万円! レベチ度高い香港の推し活、熱狂の舞台裏

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香港経済への影響も

ミラーの推し活による香港経済への影響はどうだろうか。

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ミラーのファンは、コンサートのチケットを買うだけではなく、大がかりな応援活動にも力を入れている。地元メディアによれば、ミラーのファンクラブはトラム無料乗車のスポンサーとして約200万香港ドル(約3740万円)を投入。さらに市内の広告費用に100万香港ドル(約1860万円)以上をクラウドファンディングで集めた。

ミラーは香港の広告市場でも大きな存在感を持つ。ミラーが関わる広告案件は香港の広告の約7割を占めるとされ、2018年のデビュー以来、ブランドとのコラボ広告は200件以上にのぼる。ファンたちは、こうしたコラボ商品を積極的に購入し、ファン活動の経済的規模が非常に大きいと言われる。

(60代女性のファンは、姜さんの誕生日イベントには毎年参加しているという。2024年に香港の大型テーマパーク「オーシャンパーク」で行われた誕生日イベントのチケットは888香港ドル(約16000円)。1年間のファン活動費用は約2000香港ドル(約37000円)だという。)

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香港に住んでみて筆者が強く感じるのは、この街が今、大きな転換期のまっただ中にあるということだ。香港の夜を鮮やかに照らしてきたネオンサインが消えていき、中国本土で話される北京語を必須科目にする学校も増えた。街のあちこちで、中国による統治の強化を示す国家安全法の重要性を伝える掲示を目にする。

文化の均質化が進み、香港のアイデンティティが揺らぐ時期に現れたのが香港発のアイドル、ミラーだった。地元の誇りを体現するミラーに多くの人が共感し、そのムーブメントが推し活となった。

香港の推し活はレベルが違う。それはイベントの規模だけではなく、推し活に込められたファンたちの思いが、あこがれの感情を越えた熱量だからだろう。ミラーの推し活は、今の香港の希望と不安を映し出す文化的シンボルといえるかもしれない。


堀江知子(ほりえ・ともこ)◎香港在住のインタビューライター。東京外国語大学外国語学部スペイン語学科卒業。民放キー局で15年以上にわたり、アメリカ政治や国際情勢の取材に携わる。2022年からはアフリカ・タンザニアに拠点を移し、フリーランスとして独立。現在は香港を拠点に、グローバルに活躍する日本人の姿や、現地発のレポートを国内外のメディアに届けている。著書に『40代からの人生が楽しくなる タンザニアのすごい思考法(Kindle版)』がある。

文=堀江知子 編集=石井節子

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