高収入の仕事と聞くと、普通思い浮かべるのは、会議室でミーティングをするスーツ姿の人たちだ。では、教室や看護、介護、カウンセリング室などで働く人たちはどうだろうか。そうした職場で働く人の仕事はしばしば、「ピンクカラージョブ」と呼ばれている。男性があまり目を向けてこなかったタイプの仕事だが、時代は変わりつつある。
ピンクカラーの仕事はこれまで、女性が従事する職業としてみられており、収入は控えめだった。しかし現在、その多くは、給与水準が他に引けを取らず、雇用が安定し、真に影響力をもつ意義ある仕事へと変化を遂げている。ピンクカラーの仕事は、医療、教育、社会サービスといった分野で需要が増加しており、働きながら真のインパクトを実現できる機会が得られる職業なのだ。
ピンクカラーの仕事とは
ピンクカラーと呼ばれるのは一般的に、介護や教育、カスタマーサービス分野など、人間相手のサービス業務を中心とした仕事だ。心の知能指数の高さや優れたコミュニケーション力、確かなサービススキルが必要とされる。
これまでピンクカラーの仕事が、ブルーカラーやホワイトカラーの仕事と区別されて扱われてきた大きな理由は、ジェンダーだ。つまり、ピンクカラーの仕事は女性が就くものとされ、結果として軽んじられることが多かった。
ところが、ピンクカラーの仕事の定義は進化しつつある。サービス業務を中心とした仕事であることに変わりはないが、いまでは昇進や昇給の機会が広がり、ジェンダーを問わず、さまざまな人にとって魅力のある仕事になっている。
ピンクカラーの仕事は、需要増加に伴い、社会に不可欠で、スキルを必要とし、誰にとってもやりがいのあるキャリアパスとして認められつつある。
ピンクカラーとブルーカラー
ブルーカラーは一般的に、肉体労働や熟練技術を必要とする仕事だ。具体的には、建設作業や製造、電気工事、水道工事といったもので、身体を使い、実践的なスキルを生かして働くことが求められる。インフラや産業を動かしていくブルーカラーの仕事は、エッセンシャル・ワーク(社会に必要不可欠な仕事)とみなされている。
一方のピンクカラーは、サービスや対人関係、コミュニケーションに重点が置かれた仕事であり、例えば、教育や医療、社会サービス、行政の仕事などだ。ブルーカラーの仕事は、伝統的に肉体労働と結びつけられるのに対し、ピンクカラーの仕事は感情や対人関係スキルを使って行う。
ブルーカラーもピンクカラーも、社会にとって不可欠な仕事だ。ところがピンクカラーの仕事は、しかるべき教育や資格、ソフトスキルが必要であるにもかかわらず、これまで長く過小評価されてきた。しかしいま、こうしたピンクカラーの仕事に対するイメージがついに変わり始めている。
男女を問わず、ピンクカラーの仕事を検討すべき理由
ピンクカラーの仕事は、「安定していて影響力のある仕事」がほとんどない時代において、まれな職種だ。医療、教育、対人サービス分野の仕事が多く、不景気の影響をさほど受けず、高齢化が進んで社会的なサポートの必要性が高まっている今はなおのこと、需要が伸び続けている。自動化や、景気の浮き沈みに左右される一部のセクターと違って、ピンクカラーの仕事は先行きも安泰だ。
利点は、雇用が安定していることだけにとどまらない。人々の暮らしをより良くできる仕事でもあり、やりがいがある。それに、ピンクカラーの仕事は給与水準が低いというのはもう昔の話だ。その多くは十分な収入が得られるし、昇進の機会や、リーダーとしての立場に就ける可能性もある。



