マーケティング

2025.06.24 08:45

コスパ・タイパならぬ「スペパ」が人生に新たな発見をもたらす

デジタルカメラではなくあえてフィルムカメラ(映ルンです)で撮影した写真

タイパやコスパならぬ「スペパ」とは?

戦略的暇を語る上で欠かせないのが、森下が提唱する「スペースパフォーマンス(スペパ)」という概念だ。スペパとは、中長期的にウェルビーイングと生産性を高めてくれる空間に居合わせることで、新たな思考や交流を創発するもので、タイパやコスパとは一線を画す。

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「スマホはコスパ・タイパを極限まで高めたデバイスです。一台で何でもすぐに調べられて、多様な人とも繋がり、多くの仕事もこなせる。目的まで最短距離で到達する手助けをしてくれます。一方で、その場でしか得られない体験を求めようとすれば、非常に手間がかかります。

書籍で何か調べたり、対話したりして情報を得る際にも、自分が求めている以外の情報(ノイズ)が含まれ、目的地まで蛇行や迂回をしながら進んでいくイメージです。でも、そんな寄り道やいつもの最短距離以外の道こそ、思いがけないヒントや中長期的に役立つ“何か”が潜んでいると思うのです」

なんでも情報がすぐに得られるスマホから離れ、身体と空間と共に思考することで、そこでしか得られない価値や力を享受し、豊かさを得ようという発想が「スペパ」なのだ。森下は、このスペパがこれからのビジネスに役立つのではないかと、「組織づくり」「売り上げUP」「事業創出」の観点から具体例を挙げる。

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信頼関係を育む組織づくり

森下は以前、都内から岐阜県養老町へ、ある組織のワーケーションを誘致する企画を行った。終了後のアンケートでは、「みんなの人柄が分かって仕事がやりやすくなった」「先輩の仕事のやり方を直接見れて、仕事への理解が深まった」など、組織づくりやスキルアップに繋がったという声が多く寄せられた。

リモートワークでも可能なのに、わざわざ岐阜まで来て一緒に仕事をするというのは、コスパやタイパからは程遠い。しかし、インターネット空間では決して生まれない、ランダムに情報が入り乱れる空間を共有したことで、偶発的な対話や感覚の共有が生まれ、それが「暗黙知の共有」や「信頼関係」の醸成に繋がったのだ。

「人は空間とともに考えるという習性を持っています。自分はどこにいても同じように考えると思いがちですが、人間は本来、非常に揺らぎのある生き物です。その場の環境に合わせて、自分というもののありようも変わる。また、同じ空間に居合わせた仲間とコミュニケーションを取ることで、信頼関係が構築されやすいと示唆する研究もあります。

養老町でのワーケーションでは、仕事以外にもデジタルデトックスをしながらウォーキングや温泉なども楽しみ、メンバー同士で活発な交流が生まれました。ネット空間では築けない人間関係の醸成という点で、組織でスペパを取り入れる必要性を強く感じました」

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