SMALL GIANTS

2025.06.16 12:15

良い歴史、悪い歴史 凡事徹底で会社を変えた老舗印刷会社の6代目

━━今後の印刷とデジタルの関係はどうなると思いますか?

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印刷物に関しては、無駄な印刷物をつくらない、つくらせない、広めないの方向で考えています。「もう印刷はいらない」という方もいるのですから。ただ、必要な印刷物は刷ります。でも「印刷しない」ことも、うちの会社では選択肢にあります。

デジタルに関しても、AIの普及によって従来よりもCO2の排出量が上がるとマイクロソフトは言っています。ということは、デジタルも環境に優しいかというと、そうとは言えないわけです。だからこそ、デジタルと紙の利活用の最適化を提案できるようにする必要があると思います。

だから、「もうこれは紙でやらないほうがいいですよ」「SNSだけで様子見ませんか」というのも印刷会社の提案としてありですし、「これは絶対に手渡したほうがいいですよ」となれば、印刷物の提案をする。そのミックスもありだと思っています。

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━━印刷会社が「印刷しない」ことで収益を上げるというのは斬新ですね。

「無駄な印刷をさせない」ことです。具体的に取引先に対して、支援メニューとしては2つ、1つは脱炭素のコンサルティング。もう1つはペーパーレス、デジタル化を再エネ100でやることです。こうしたお手伝いで収益を上げています。

みんな「もうデジタル化は終わった」とか言っていますけど、その人たちが言っているのはPDF化のことです。PDF化した後のOCRで、全文検索できる状態にはなってないのです。だから弊社はスキャニングロボットをつくって、書籍を設置すれば自動でページを送れるようにして、OCRで全文検索できるようにしたのです。

たとえば、絶版本を復刻したいときにテキストや画像を使うことによって、オンデマンド印刷、デジタル印刷で5冊だけつくる、1冊だけつくるようなことができるようになります。

あと、弊社のコピーにもある「印刷しない印刷会社」の新しい取り組みとして、社内のスキャナーは太陽光パネルの発電で20%、残りの80%は風力発電で電力を購入して、再エネ100にしています。つまり、私たちの工場内でつくるものは全部「再エネ100」と言えます。

それから他の3台の機械は手動になっています。なぜ手動かというと、記帳文書や古文書とかにも対応できるようにするためです。今は手書きのOCRや筆書きのOCRで、解読できるようになってきていますよ。それを凸版印刷と協働しながら、いろいろ可能性を探っている状況です。


大川哲郎◎1967年、横浜生まれ。東海大学法学部法律学科卒業。大学卒業後に東京の印刷会社で3年間修行後、株式会社大川印刷へ入社。入社後は母親である5代目社長をサポートする取締役社長室室長に就任。バブル崩壊後の印刷不況を組織改革で乗り切り、2005年に6代目社長として事業承継。現在は本業を通じた社会課題解決を実践するため、環境印刷への取り組みに注力している。

(本記事は、事業承継総合メディア「賢者の選択 サクセッション」の記事前編後編を編集しています。)

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