不動産市場の冷え込みや人口動態の変化などによる減速の兆しもあるものの、長期的には北京、上海、広州、深圳に代表される「一線都市」やそれに次ぐランクの「二線都市」で可処分所得の増加が続くというのがわたしたちの見方だ。老鋪黄金が出店しているのはまさにそうした都市であり、そこは高級金製品市場が最もレジリエント(強靭)な場所でもある。
わたしたちは老鋪黄金について、国産高級ブランドへのシフトという中国の消費者行動の変化から恩恵を得るのに良い位置につけているとも判断している。たとえば、中国の高級酒市場を茅台(マオタイ)酒が支配しているように、あるいは中国の電気自動車(EV)市場で比亜迪(BYD)が外国メーカーを一気に抜き去ったように、老鋪黄金は中国の高級宝飾品市場でも地場企業がリードできることを証明しつつある。
老鋪黄金は中国本土以外への進出も進めていて、これまでにシンガポールの統合型リゾート施設「マリーナベイ・サンズ」や香港のIFCモールへの出店が決まっている。
割高感は出ているが一過性とも思えない
もちろん、どんな株式も永遠に上がり続けるわけではなく、老鋪黄金の株価の爆発的な上昇に対しては一部から疑問も呈されている。現在の株価は割高(直近1年の株価収益率、PERは87倍に達する)だと見る人もいるだろうし、懐疑派からは小売りブームに乗った「ストーリー株(将来性への期待から買われる銘柄)」の一種と目されている。
わたしたちもファンダメンタルズ(基礎的条件)を綿密にチェックしている。しかし、金市場を長年追い続けてきた投資家の立場から言えるのは、価格はしばしば情熱に追随するということであり、なかんずく、文化的な要因で需要が動く市場ではそれが顕著だ。
老鋪黄金は典型的な金鉱株でもなければ、金価格に連動する上場投資信託(ETF)の代わりになるような銘柄でもない。むしろ、中国の文化に根ざし、ますます豊かになる金との関係に純粋に賭ける投資先だとわたしたちは考えている。また、西洋の高級ブランドが中国で苦境に立つなか、老鋪黄金の台頭は一過性の投機的な動きによるものではなく、長期的な構造変化を反映しているように見える。老鋪黄金はラブトレードの波に乗っており、しかもその舞台は世界で最も重要な金市場なのだ。


