2025.06.12 13:00

カナダ人の訪米、5月は40%近い急減 米インバウンド市場への打撃甚大

米ワシントン州ブレインとカナダ・ブリティッシュコロンビア州サレーを隔てる国境にまたがってそびえる記念碑ピース・アーチ(Shutterstock.com)

カナダ人が旅行全般を控えている可能性は?

カナダ人が旅行そのものを控えているわけではない。レガー・マーケティングの調査によると、今夏にレジャー旅行を計画しているカナダ人は過半数の55%に上っており、2024年の47%から増加している。だが、夏の間に米国旅行を予定している人は、昨年の23%から今年はわずか10%に減少した。

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対照的に、国内旅行熱は急上昇しており、77%がカナダ国内で休暇を過ごす計画を立てている(2024年は69%だった)。トランプ関税導入前と比較すると、より多くのカナダ人が国内旅行を選ぶ可能性が高いと答えており、地元州内が48%(関税導入前は38%)、カナダ国内の他の州が42%(同30%)だった。

他国からの訪米客も減少

英経済コンサル会社オックスフォード・エコノミクス傘下で観光分野の統計を扱うツーリズム・エコノミクスの最新予測によれば、2025年の訪米外国人観光客数は9%の大幅減となり、外国人旅行消費額は前年比で85億ドル(約1兆2300億円、4.7%)減少するとみられる。

しかし、実際の損害はその倍の「壊滅的」なものになると、同社のアダム・サックス社長はフォーブスに語った。「(トランプ大統領の)就任式前の予測では、今年の訪米外国人観光客数は9%増加を見込んでいた。したがって損失を完全に評価するには、継続的な回復に基づいて見込まれていた成長に対する相対評価とすべきだ。何しろ、外国人観光客数はまだ2019年の水準をはるかに下回っているのだから」

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米インバウンド市場は2025年に大幅成長が見込まれていただけに、米国が被る損失の実態は非常に大規模なものになる。世界旅行産業会議(WTTC)は、米国の観光収入は今後も大きく減少するとみており、2025年の外国人旅行消費額は125億ドル(約1兆8100億円)の損失を出すと予測している。

2025年の米旅行関連輸出は3兆円減か

USTAによると、インバウンド消費が1%減少するごとに失われる輸出収入額は18億ドル(約2600億円)に上る。この減少傾向が年末まで続けば、米国は少なくとも210億ドル(約3兆円)もの旅行関連輸出収入を失うことになる。

共和党のテッド・クルーズ上院議員が委員長を務める上院の商業・科学・運輸委員会は、米国観光を促進する半官半民の機関「ブランドUSA」の予算を現行の1億ドル(約145億円)から2000万ドル(約29億円)に削減することを提案している。USTAは、そのような大幅削減は「旅行業界のあらゆる分野に著しい影響を及ぼす」として「深い懸念」を表明した。

forbes.com原文

翻訳・編集=荻原藤緒

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