近視による日本の経済損失額は4兆円
世界ではすでに近視が病気であるという認識が広まっています。
視力障がいによる経済損失は、世界で年間約4000億ドル(約60兆円)に及ぶとする調査結果も出ています。また、2015年に国連で採択されたSDGs(持続可能な開発目標)には、子どもの近視抑制に関する啓蒙や目の健康推進が含まれています。
こうした状況から考えても、日本で「近視が病気である」という認識を広め、近視対策を進めていく必要があります。
では、実際に近視による日本の経済損失はどのくらいあるのか。今回、中国における算出モデルに倣って、以下の前提条件のもと、日本の数値を推計してみました。
その結果、年間約4兆円の経済損失があると推定されました。これは日本の年間GDP、600兆円の約0.7%に相当します。ケアにあたる家族の負担なども考えると、近視による経済損失額はさらに増えるでしょう。こうした損失から考えても、近視は決して「メガネをかければいい」では済まされない疾患なのです。
次回は、国家プロジェクトとして近視対策に取り組む、中国の実例をご紹介します。
窪田良(くぼた・りょう)◎眼科医、医学博士、窪田製薬ホールディングス代表取締役会長、社長兼最高経営責任者 (CEO) 。慶應義塾大学医学部を卒業後、同大学大学院に進み眼科学研究において博士号を取得。その研究過程で緑内障原因遺伝子であるミオシリンを発見、「須田賞」を受賞。眼科専門医として慶應病院や虎の門病院などの勤務を経、米国ワシントン大学に眼科シニアフェローおよび助教授として勤務。慶應義塾大学医学部客員教授、米国NASA HRP研究代表者、米シンクタンクNBR理事などを歴任。2024年5月に東洋経済新報社より『近視は病気です』を出版。近視をゼロに、世界中から失明を無くすことを目標に活動している。
※「近視」に関しては多くの研究がなされている。本稿では窪田博士の研究について紹介した。



