北米

2025.06.12 11:00

米高所得者層に「旅行意欲減退」の兆し、プレミアム航空券の売上が減少

Shutterstock.com

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富裕層の旅行客は経済の混乱期のなかでも支出を抑えないと考えられてきたが、調査会社の最新データによってこのグループの航空券への支出が大幅に減少したことが判明した。このことは、プレミアム顧客に頼ってきた航空業界にとって潜在的な脅威といえる。

高所得者層による航空券へのクレジットカード支出が減少

消費者支出データを提供するConsumer Edgeによると、年収15万ドル(約2160万円。1ドル=144円換)以上の高所得者層による航空券へのクレジットカード支出の成長率は、5月25日までの35日間で7%下落した。一方低所得者層は、トランプ米大統領が「解放の日」と呼んだ、4月3日の追加関税の発効直後から航空支出を抑えていたことが、4月のデータで明らかになっていた。

先行指標となる可能性

5月のデータは、3月と4月からの反転を示しており、「高所得者層の支出は最も高い成長率から最も低い成長率に転じた。これが続けば航空会社のビジネスに脅威となる」とConsumer Edgeインサイト部門副社長のマイケル・ガンターは語った。

金融サービス企業Raymond Jamesの航空業界担当アナリスト、サヴァンシ・サイスは、「このデータは先行指標となる可能性がある。なぜなら、現状の支出の弱さは今後の予約数減少の前ぶれになるからだ」と語った。

主要航空会社の主張を覆すデータ

米国の主要航空会社は4月の第1四半期決算発表にあたって、いずれもエコノミー席の需要が大きく落ち込んでいることを認めた一方で、プレミアムシートの需要は引き続き堅調だと主張していた。

しかし、国際航空運送協会(IATA)が4月に発表したデータによると、北米におけるファーストクラスおよびビジネスクラスのRPK(有償旅客数×輸送距離)は、前年比で26.2%も減少しており、世界全体の減少率4.2%を大きく上回っていた。

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編集=上田裕資

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