健康

2025.06.18 07:15

7月はもっとも眠れない月 日本人7000人超のデータが示す睡眠事情

プレスリリースより

プレスリリースより

株式会社ブレインスリープとスタンフォード大学睡眠生体リズム研究所の共同解析により、1年間・365,722夜分の睡眠データから、もっとも睡眠の質が低下するのは「7月」ということが判明した。計測には同社のツール「ブレインスリープ コイン」が活用され、月ごとの睡眠スコア、睡眠時間、睡眠の質の変化が詳細に可視化された。

時間も質も悪化する夏の睡眠

これまでも夏の寝苦しさは広く知られていたが、今回の解析で7月の「睡眠スコア」が最低という結果が出た。「睡眠時間の短縮」「睡眠の質の低下」が睡眠スコア低下の要因だった。

特に、12月と比較して7月の睡眠スコアは約1.7点低く、睡眠時間は約12分短い結果に。さらに、深い睡眠の時間も約7.5分短く、入眠から深い睡眠に至るまでの時間も遅延が確認された。

質の低下は日照時間と高温多湿が原因

要因としては、夏の早朝の日照により起床が早まり、メラトニン分泌のタイミングが乱れることや、就寝時の高温多湿が深部体温の低下を妨げ、スムーズな入眠と深い睡眠を妨げていることが挙げられる。

単なる「睡眠時間の短縮」ではなく、「深い睡眠への到達が遅れる」という過程段階での悪化が明確に示された点に注目したい。これにより、夏の睡眠改善策に“量”だけでなく“質”への対応が求められることが明確になった。

四季との連動性も可視化

解析では、秋に向けて睡眠スコアが回復傾向にあることも示された。一方、春は深い睡眠がやや増える傾向を見せつつも、夏の質低下の兆しがすでに表れているという。

今回の調査からは「夏バテ=日中の疲労」だけでなく、「夏バテ=夜間の回復が不足している」可能性が示唆される。企業や自治体が働き方改革や健康管理を考える際、夏の“夜間リカバリー不足”は盲点になりやすく、しかし見逃せない課題だ。

ブレインスリープ最高研究顧問である西野精治氏は、今回の調査結果を受けて次のようにコメントしている。「日本の夏は、気温・湿度の上昇と日照時間の影響で、睡眠時間も質も低下することが明確になった。秋には回復傾向、春にはすでに夏の悪化の兆しがある。夏の快適な睡眠には、熱がこもらない寝具や適切な入浴が効果的」。

これまで「なんとなくそんな気がする」という感覚的に語られがちだった「夏の寝苦しさ」に対し、明確な数値で原因を追求した今回の調査。今後は「夏の睡眠の質向上」や「夏バテ防止」など、日本の酷暑に焦点を絞り、健康経営やウェルビーイングの一環として取り組むのは、睡眠の質向上はもちろん生活全般のクオリティを上げるために必要な一手かもしれない。

プレスリリース

文=福島はるみ

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