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2025.06.13 17:00

脳の習性で生産性アップ、ストレスも減る方法とは? 心理学者が解説

Anastasiia Makarevich / Getty Images

Anastasiia Makarevich / Getty Images

私たちは日々の出来事をどのように理解し、整理しているだろうか。出来事について筋の通った物語を形成するために、どうやら私たちは心のテンプレートや「台本」を使っているようだ。こうした台本は身の回りで起こっていることを予測し、理解するのに役立つパターンのライブラリーのようなものだ。例えば、私たちはレストランでは通常、メニューを見て注文し、食事をして代金を払うということを知っている。

興味深いことに、科学誌『Current Biology(カレント・バイオロジー)』に2024年に掲載された研究によると、私たちの脳は時間を意味のある部分や「区切り」に分けることができるという。この変化は精神的なものだけでなく、脳の活動にも反映される。

つまり、私たちの脳はただ受動的に周囲の出来事に反応しているのではなく、私たちが注目していることやすでに知っていることに基づいて能動的に出来事を整理している。この傾向を利用することで、集中力を高め、日常のタスクをより効率的に管理し、またストレスを軽減してより良いワークライフバランスを実現できる。

これまで以上に毎日を生産的なものにできるよう、有意義な区切りを使うための実践的な戦略をいくつか紹介しよう。

1. 構造を使ってモチベーションを高める

専門誌『Personality and Social Psychology Bulletin(パーソナリティ・アンド・ソーシャル・サイコロジー・ブレティン)』に2018年に掲載された研究は、人生の意味や、我々はよりも大きなものの一部であると感じる能力には3つの重要な側面があると示唆している。これらの側面とは意義、目的、そして一貫性だ。

研究では、一貫性と意味を達成するために、日課が重要な役割を果たすことが明らかになった。日課は毎日の運動や仕事でのタスクの完了など、重要な目標と一致することが多い。日課は単調に感じられるかもしれないが、意味のある目標に向かう一連の意図的な行動を取り込むことができる。

意義のある個人的な目標に向かって一日を構成することで、ストレスを効果的に管理し、よい睡眠をとり、栄養価の高い食品を食べ、一層活動的になる時間を作ることができる。これらはすべてウェルビーイングと集中力アップに貢献する。

例えばタスクに特定の時間を割り当てるなど、仕事と休みを明確に分けることで気が散るのを抑え、一度にひとつのことに集中できるようになる。これにより、多くの人が集中力や生産性を低下させるマルチタスクを防ぐことができる。

これを取り入れるのに役立つ方法のひとつは日記を書いたり、その日の区切りを振り返って自分の1日がどのようなものだったかを把握し、それを紙の上で新たな意味のある区切りに分解することだ。自分の進化に本当に役立つものは何かを考えながら、ニーズに合わせて日課を作る。

また、「ポモドーロ・テクニック」のような作業と休憩の時間をきっちりと分ける戦略を使って、1日に自然な「区切り」を作り、燃え尽き症候群(バーンアウト)を避けることもできる。このような時間の区分は、実際に休息を感じられるようになるまでの時間や、完全に集中できる時間に応じて設定するのがベストだ。

次ページ > 2. 平凡な仕事をより意味のあるものにする

翻訳=溝口慈子

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