欧州

2025.06.11 11:30

「光ファイバーで編まれた鳥の巣」が予告する、ウクライナの夏の過酷なドローン戦

ウクライナ軍兵士が撮影した光ファイバーで編まれた鳥の巣(Xのスクリーンショット)

いま、わたしたちはその成果を目にしている。とくに、光ファイバードローンは無線式ドローンでは行くのが困難だった場所にも入り込んでいる。開けた場所にある車両はどれもドローンによって発見され破壊されてしまうため、ロシア軍は戦車や装甲車を格納庫や納屋、ガレージなどに隠している。だが、いまではこうした場所に置いても安全でなくなっている。ウクライナ軍の光ファイバードローンはや入り口などの開口部から建物内に侵入し、隠されている車両を破壊している。T-72戦車を構造物の下部などに目につかないように置いただけでは、もはや発見や破壊を免れることができないのだ。

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伸びる飛行距離

最初期の光ファイバードローンは数kmしか飛べなかったが、飛行距離は着実に伸びてきている。現在は10~15kmのケーブルを積むのが一般的だ。これよりはるかに長い距離を飛ぶものもある。ウクライナ側は最近、光ファイバードローンで42km離れた目標を攻撃したと主張している。また、ロシア側の画像では、50kmの光ファイバーケーブルを巻いたというスプールが紹介されており、重さは4kg弱とされる。これは多くのFPVドローンには重すぎるが、爆弾搭載量を減らした大きめのドローンなら取り付けられるだろう。光ファイバーの改良により、今後さらに飛行距離の延伸や重量の軽減が図られそうだ。

光ファイバードローンは待ち伏せ攻撃に使用されることも多くなっている。ドローンをある地点に向かわせて着陸させ、目標が近づいてきたら再び離陸させて攻撃するという運用法だ。無線式ドローンを用いた以前の待ち伏せ攻撃では、ドローンはバッテリーを節約するためいったんスリープ状態に入り、偵察ドローンから目標接近を告げる信号が送られるまで待機していた。光ファイバードローンは長距離通信で消費する電力量が少なく済むので、道路脇などで長時間潜伏することが可能になっている。

ロシアは最近、このコンセプトを発展させたシステムを披露した。光ファイバードローンを運搬する光ファイバー誘導の装軌式小型ロボットだ。これが実戦で使用されたという証拠はまだないものの、FPVドローンが攻撃できる範囲と待機できる時間をいずれも大幅に拡大できる可能性がある。さらに、こうした無人車両が複数のFPVドローンを積載するようになれば、ウクライナがこのほどロシア国内で遂行してその航空戦力に大打撃を与えた「クモの巣作戦」の小規模版も仕掛けることできるかもしれない。

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翻訳・編集=江戸伸禎

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