光ファイバーケーブルを編んで作られた鳥の巣の写真は、ウクライナの大地に光ファイバー誘導のFPV(一人称視点)ドローン(無人機)の残骸がどれほど多く散らばっているのかを示す衝撃的な証拠だ。ほかにも、光ファイバーが平原の一面を大きなクモの巣のように覆い、光を反射している画像もある。これもまた、上空を数多くのドローンが飛び交った痕跡だ。
他方、ウクライナ軍のドローン操縦士たちが、こうした有線通信を利用してドローンを建物の内部に入り込ませ、ロシア軍の車両を見つけ出す「かくれんぼ」のような動画もソーシャルメディアにあふれている。光ファイバー自体は毒性がなく、鳥に害を与えることはないかもしれないが、人間にとってきわめて危険な状況になっていることが示唆される。光ファイバードローンの夏が始まろうとしている。
Birds on the front lines weave their nests from fiber optics. pic.twitter.com/vwdLXg3Wyy
— Saint Javelin (@saintjavelin) June 5, 2025
光ファイバードローンの進化
大半のFPV攻撃ドローンは操縦士との無線リンクに依存していて、この点がアキレス腱になっている。飛行高度が低すぎたり、丘の陰に入ったりすると、通信が途切れてしまうことがある。もっと頻繁に起こっているのがジャミング(電波妨害)による損失で、最大75%が電子戦で失われているとの見方もある。そうした損失の多くは実のところ、敵ではなく味方の電子戦システムの影響で墜落しているという話もある。ジャマー(電波妨害装置)はFPVドローンに対する防御としては不完全だが、多くの部隊がそれに頼っている。
光ファイバードローンはこうした無線受信にかかわる問題を解決する。光ファイバー通信のドローンというアイデアは、2000年代初めに米国防高等研究計画局(DARPA)が「近接戦闘致死性偵察(CCLR)」というプログラムで考案していたが、実戦配備には至らなかった。光ファイバードローンは光ファイバーケーブルを繰り出しながら飛んでいき、それを通じて通信を行うのでジャミングの影響を受けない。通常のドローンと違って、発する無線信号を手がかりに探知されるおそれもない。
光ファイバードローンを最初に配備したのはロシア軍だった。ほんの1年あまり前のことで、当初は数が少なかったものの、やがて大量に使われるようになった。ウクライナ側もロシアに追いつくべく取り組みを急いだ。ウクライナのミハイロ・フェドロウ・デジタル変革相(兼、事実上のドローン最高責任者)によると、ウクライナでは現在、15社が光ファイバードローンを製造しているとのことだ。こうした急速な進展には、元米海兵隊員のトロイ・スマザースのようなボランティアが大きな貢献をした。米国人のスマザースは、自身の光ファイバードローンの設計をウクライナに持ち込み、その技術を実演し、現地での産業の構築を支援してきた。
The tech arms race. Ukrainian fiber-optic drones are in the spotlight in @washingtonpost . 15 Ukrainian manufacturers are already developing them, and another 20 are working on components. We’re scaling @BRAVE1ua ecosystem innovations that deliver a battlefield edge 👇… pic.twitter.com/oJiNvkfJU3
— Mykhailo Fedorov (@FedorovMykhailo) May 26, 2025